十五年戦争の最近の記事

伊藤純郎『満州分村の神話』

 サブタイトルに「大日向村は、こう描かれた」とある。

 タイトルには満州分村移民を「拒否」とあるが、正確には「積極的な取り組みをしなかった」である。

神立尚紀『カミカゼの幽霊』

 『桜花―極限の特攻機』を読んだ記憶があるのだが、読書ノートにない。
 やっぱりちゃんと書いておかなくてはだめだな。

小熊英二『生きて帰ってきた男』

 シベリア抑留から生還した庶民の一代記。

欧陽文彬『穴にかくれて十四年』

 中国人で強制連行被害者の劉連仁の逃亡の記録。

外村大『朝鮮人強制連行』

 日中戦争から敗戦に至る時期に、朝鮮半島において半強制的に労働者を連行して働かせた事実がある。

 1942年2月9日に、大本営政府連絡会議が開かれた。

高木俊朗『全滅・憤死』

 インパール作戦を戦った第三十三師団・戦車第十四連隊の戦記と第十五師団の戦記の合本。

小松真一『虜人日記』

 軍属としてフィリピン・ネグロス島に従軍し、戦闘(逃亡)に参加し、投降後、捕虜生活を送られた著者による記録。

吉村昭『大本営が震えた日』

 太平洋戦争(大東亜戦争)開戦前夜の陸海軍の動きを丹念に追った小説。小説ではあるが、ほぼノンフィクションである。

 砲兵少尉としてルソン島で従軍し、捕虜生活を送った著者が、体験に基づいて帝国陸軍について考察している。

朝日新聞取材班『戦争責任と追悼』

 戦争責任についての証言・論評と靖国問題についての論評を集めている。

高木俊朗『抗命』

 インパール作戦の全体を第31師団の動きをメインに描いた書。

 現地を含め、生存者からの取材を交えてインパール作戦の全体を素描した本。

NHK取材班『東京裁判への道』

 東京裁判において、主として天皇不訴追がどのようにして決まったのかを追究している。

保阪正康『瀬島龍三 参謀の昭和史』

 瀬島龍三の評伝。瀬島については、数多の伝説がある中で、最も深く取材された本だと思われる。

共同通信社社会部『沈黙のファイル』

 瀬島龍三を始めとする元大本営参謀数名の戦中・戦後をたどった書。

保阪正康『昭和の怪物 七つの謎』

 研究書ではなく、気軽に読むことができる昭和史裏面史。

 近代「日本」のメディアの歩みを検証し、問題点を指摘している対談。

富田武『シベリア抑留』

 シベリア抑留とはなんだったのかを、深く掘り下げた本。

青木冨貴子『731』

 石井四郎を始め、731部隊の指導者がどのようにして免罪されたかを、膨大なアメリカの公文書と聞き取りによって明らかにした書。

 日中戦争期の外交・陸軍統治の諸問題を洗った本。
 歴史の流れの根幹部分ではなく、通史から抜け落ちそうだが重要な諸問題について掘り下げている。

鴻上尚史『不死身の特攻兵』

 陸軍最初の特攻隊である万朶隊の隊員で、数度の出撃にも関わらず生還した佐々木友次伍長からの聞き書き。

青沼陽一郎『帰還せず』

 「南方」へ出征したあと、戦後、「日本」への帰国を拒否したもと兵士への聞き書き。

吉田裕『日本軍兵士』

 アジア・太平洋戦争期間における「日本」軍兵士の「身体」に関わる史実をていねいに分析した書。

 タイトルにあるテーマに迫ろうとする研究者へのインタビューを通して、問題点を解きほぐそうと試みた書。

半藤一利・佐藤優『21世紀の戦争論』

 戦争論の大家と知的エリートの対談。

吉田裕『昭和天皇の終戦史』

 1990年に公開された「昭和天皇独白録」の意義について研究した書。

半藤一利『遠い島 ガダルカナル』

 ガダルカナル攻防戦を、主として作戦面から検証している。

 レイテ島の戦いについて、戦闘そのものでなく、その背景をなすフィリピン人と日本軍の関係に焦点を当てている。

 太平洋戦争当時の日米の兵器の技術レベルや開発体制の問題について取材した書。

五味川純平『ガダルカナル』

 ガ島作戦の一部始終を記述している。
 朽ちていった命への愛惜と、その場限りの作戦で命を消耗させた指揮官・参謀への憤りに満ちている。

粟屋憲太郎『東京裁判への道(下)』

 上巻に引き続き、東京裁判における容疑者の選定、731部隊の免責、起訴対象者の選定等に関する事情を紹介している。

粟屋憲太郎『東京裁判への道(上)』

 機密解除された(と言っても今からすればずいぶん以前だが)東京裁判に関する国際検察局の史料から、裁判の準備から裁判過程を追った書。この巻では、国際検察局の設置に至る経緯から木戸幸一と田中隆吉の証言について、詳しく紹介している。

NHK取材班『日米開戦勝算なし』

 太平洋戦争当時の物資補給ライン(生産地から日本へ 日本から戦場へ)及び軍需物資の輸送の実態について、史料と聞き書き両方から迫った調査報告。

 帝国陸海軍の将官(一部は将校)の人物に関する対談。

山口紀美子『奪われた若い命』

 BC級戦犯として処刑された学生・木村久夫の生涯を描いた本。

加古陽治『真実の「わだつみ」』

 木村久夫と彼が残した数々の短歌及び二通の遺書について考察した書。

飯田進『鎮魂への道』

 BC級戦犯裁判の意味を考察した書。著者自身もその一人として服役した方である。

小林英夫『日本軍政下のアジア』

 十五年戦争の時代、日本軍によって占領された地域において通貨として流通させられた軍票や儲備券発行がどのような役割を果たしたかについてまとめた書。

保阪正康『陸軍良識派の研究』

 帝国陸軍にあって理性的な言動のあった人物の評伝。

飯田進『地獄の日本兵』

 ニューギニア戦線の実相をまとめた書。
 太平洋戦争のターニングポイントはミッドウェー海戦だったが、補給線壊滅後の絶望的な戦いは、ガダルカナルから始まった。

結城昌治『軍旗はためく下に』

 上官殺害・敵前逃亡など、太平洋戦争当時に起きた、語られない事件を描いた小説集である。

 対米交渉と国内の政治過程をていねいにたどることによって、開戦を決定するプロセスにどのような問題があったかについて、分析している。

半藤一利編『日本のいちばん長い夏』

 1945年7月末から終戦にかけての時期に何が起きていたのか、ありえないほど多彩なメンバーによる大座談会の記録。
 座談会が行われたのは、1963年である。

 本の帯に「昭和19年4月1日、私がセブ島で捕らえたゼネラルは『俺は海軍のボスだ』と親指を立てた。そして彼は自分が『コガ』であるとはっきり認めた」などと、センセーショナルなことが書いてある。

秦郁彦他『昭和陸海軍の失敗』

 昭和期の帝国陸海軍の抱えていた問題点について、専門家が議論している。
 こう言ってはまずいかもしれないが、趣味を同じくする人々が傾けるウンチクといった感じで、面白い。

秦郁彦『昭和史の軍人たち』

 昭和期の戦争を指導した30名近い将官・将校のプロフィール。

阿川弘之『井上成美』

 太平洋戦争当時の海軍指導者だった井上成美の戦中・戦後に関するノンフィクション。
 文庫本で600ページ近いとはいえ、井上大将の業績をコンパクトにまとめている。

吉村昭『海軍乙事件』

 帝国海軍最大の不祥事ともいえる機密書類紛失事件の概要を描いたノンフィクション。

秦郁彦ほか『零戦と戦艦大和』

 太平洋戦争の帝国海軍が使用した兵器のうち、特筆すべき技術力の結晶である、零戦と戦艦大和に関する座談会。

 帝国海軍の井上成美大将のインタビュー本と思ったが、井上氏へのインタビューは本書のごく一部だ。

澤地久枝『自決』

 敗戦後、妻子とともに自決した陸軍報道部員、親泊朝省大佐の伝記。

鳥巣建之助『人間魚雷』

 海軍特攻の一環だった回天作戦担当将校による作戦の全体像。
 著者は、作戦自体に対しては否定的であると同時に、作戦をより効果的たらしめるという観点から、軍令部の考え方には批判的である。
 なお著者は、海軍反省会でも、軍令部の責任を追及する立場から発言している。

小林久三『光と影』

 太平洋戦争の際に連合艦隊の先任参謀として作戦を担当した黒島亀人を描いた小説。
 さほど綿密に調査・取材したようでなく、主観的な修飾文が多いので、どこまでが事実なのか、よくわからない。

 『日本海軍400時間の証言』で語られた内容に関する鼎談。

 1980年から1991年にかけて、帝国海軍の旧将官・旧将校が中心となり、「反省会」と称して、太平洋戦争当時の海軍の軍令関係についてフリートークする会が催された。
 そこで語られた中には、組織や作戦に関するきびしいやり取りも含まれていた。

伊藤政徳『連合艦隊の最後』

 帝国海軍が太平洋戦争をいかに戦ったかを分析的に描いた書。
 主として作戦面での問題点を分析している。

大貫健一郎・渡辺考『特攻隊振武寮』

 特攻隊生還者とNHKディレクターが、特攻隊と生還者収容施設である振武寮の真実を語った書。

林えいだい『陸軍特攻振武寮』

 生還した特攻隊員は、原隊に戻されず、収容所に隔離・軟禁された。
 福岡市にあった「振武寮」が、その収容施設だった。

松浦喜一『昭和は遠く』

 生還特攻隊員の手記。

清武英利『同期の桜は唄わせない』

 太平洋戦争末期に、鹿児島県万世基地・知覧基地などから、沖縄へ特攻機が飛び立った。

 1945年8月14日の御前会議で終戦が決定され、起草された詔書の決定・昭和天皇による録音という流れの中で、宮城を守護する陸軍近衛師団が戦争の継続を求めて反乱を起こし、宮城が一時は占拠された。
 この事実は、歴史教育の中では、伏せられている。

飯尾憲士『自決』

 十五年戦争の敗戦が決定した夜に、一部の将校が近衛第一師団とともにクーデターを企図した。
 近衛第一師団はクーデターへの参加を拒否し、クーデター自体は失敗したが、師団長が殺害された。

飯尾憲士『開聞岳』

 知覧をはじめとする特攻基地から出撃した、大日本帝国の朝鮮人下士官の思いに迫ろうとしたドキュメント。

山本七平『洪思翊中将の処刑』

 朝鮮半島出身ながら帝国陸軍の将官となり、フィリピンにおける捕虜収容所の責任者として軍事裁判にかけられ、戦犯として処刑された洪思翊中将の裁判にかかわる記録。
 洪思翊に関する伝記的記述はあまり多くなく、裁判過程に多くのページを割いている。

佐高信『石原莞爾』

 石原莞爾の言行を洗いなおした書。

吉村昭『零式戦闘機』

 零式戦闘機の開発から製作・作戦での戦果とその終末までを描いた小説。

 ものづくりの魂とはどのようなものかについて、深く追究されている。

高木惣吉『太平洋海戦史』

 太平洋戦争における、海戦の略史。

吉村昭『戦艦武蔵』

 戦艦武蔵の建艦から沈没までを描いた小説。

 小説とはいえ、武蔵の建造日誌に取材しているので、着工から進水までの描写は圧巻である。

栗原俊雄『戦艦大和』

 進水から5年で沈没に至った戦艦大和とは何だったのかについて、主として聞き書きに依りながら、簡潔にまとめた書。

吉田満『戦艦大和ノ最期』

 著者は大和搭乗時、弱冠21歳、東大卒(繰り上げ卒業だから実質的には学生)の将校だった。

 日本海軍最大・最強の巨艦の中枢部で、副電測士として、刻々と展開する状況・戦況を整理して司令部に集約するという重責を担っていたわけだが、叩き上げの軍人よりも、情報処理能力はすぐれていたかもしれない。

島本慈子『戦争で死ぬ、ということ』

 太平洋戦争(大東亜戦争)における、「死」の諸相を概観した本。

城山三郎『大義の末』

 「(天皇制という)大義に生きる」という確信のもとで人間形成してきた若者が、戦後、どのようにして思想的清算をとげたかを描いた作品。

窪島誠一郎『「無言館」ものがたり』

 長野県上田市の独鈷山に登ったあと、山麓にある無言館を訪ねました。
 無言館とは、戦没画学生の遺作を展示した美術館です。

戸井昌造『戦争案内』

 日本の社会のなかで、戦争に対する感覚が次第に麻痺していくのを感じます。
 『読売新聞』の社説をだいたい毎日読んでいるのですが、あそこに書かれているような意識を日本人があまり違和感なく受け入れているとすれば、

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