2009年10月アーカイブ

小山勝清『心の民俗誌』

 1925(大正14)年に刊行された著者の『或村の近世史』をメインに、高田宏氏が編集された本。
 「里山からのメッセージ」という、洒落たサブタイトルがついているので近年の著作かと思ってしまうが、たいへん古い時代の、熊本県の山里における出来事集である。

 「これは川ではない。滝である」という、日本の川を評した言葉で有名なお雇いオランダ人、デ・レーケの伝記。

 デ・レーケ自身の回想などは残されていないが、彼が先輩であり上司にあたるJ・エッシャーにあてた大量の書簡が残っているらしく、全体としてはなかなか詳細な、大著に仕上がっている。

金子毅『インフラの源流はダム』

 二瀬ダム・奈良俣ダム・浦山ダム・滝沢ダムなどを手がけた建設省=水資源公団技師の回想記。
 基本的には、自慢話のたぐいである。

佐藤常雄他『貧農史観を見直す』

 貧困と階級闘争によって描かれる江戸時代像の克服を提起した書。

高橋義夫『田舎暮らしの幸福』

 過疎化の渦中にあった7つの村の村長へのインタビュー。
 インタビュー自体は1985年から86年に行われており、話の内容は、バブル期のリゾートブームより前のことである。

岡義武『山県有朋』

 明治の「元勲」であり大正末期まで「元老」として日本の政治を牛耳り続けた山県の伝記。
 コンパクトだが、的確でわかりやすい記述で、読み応えがあった。

田中圭一『良寛の実像』

 物語と化した良寛像を、史料に基づき批判した書。