2007年2月アーカイブ

平方浩介『じいと山のコボたち』

 岐阜県徳山村の分校の先生が書いた子ども向け小説。

 初版が刊行されたのは1979年とある。
 徳山ダム反対運動がまださかんだった時代の作品である。

浜田晋『老いを生きる意味』

 若きゴータマ=シッダルタが城門の外で病んだ老人に遭遇し、驚愕したという逸話は、どんな人間にも衝撃的である。
 この逸話は、加齢を経るにつれて、セピア色からカラー写真のようにリアルさを増す。

 独特の柱状社会構造を持ち、寛容と表現される方法で個人・社会間の関係を解決する社会的雰囲気を特徴とするオランダの紹介と問題点を指摘した書。

シング『狼に育てられた子』

 学生時代の1975年に受講した「教育心理学」の講座で先生に読むように勧められた記憶があるのだが、奥付を見ると1977年刊とある。
 読めと言われたのはたぶん、同名のゲゼル著の方だろう。

太田祖電ほか『沢内村奮戦記』

 地域が存在し続けていく上で第一義的に必要なのは、産業である。
 今の日本では、グローバル経済の影響で経済価値に異常をきたしており、投下労働に比した経済的価値は、農林水産物より工業製品や各種サービスの方がはるかに高い。
 問題の中心はここにある。

河合信和『旧石器遺跡捏造』

 想起するのも忌まわしい、研究成果の捏造事件の検証。
 アマチュア考古「学者」だった藤村新一は、1980年代から2000年にかけて、日本における旧石器時代研究をリードした人物だった。
 一度だけだが、この男と会話したことがある。

鎌田慧『ドキュメント屠場』

 食肉産業の現場ルポ。
 本書を含め著者のルポは、現代の民俗リポートという印象がある。
 もちろん、現実に存在する矛盾の告発という要素は多分に含まれているが、現代の生活者の生きようを淡々と描く作風は、暮らしの記録としてとても貴重だと思う。

 必要あって再読。
 ことによると積ん読書だったかも。

 手元にあるのが1987年沖縄国体開催時の一刷で、この年に沖縄戦についてきちんと学ばなければならない気になったのは確かだ。

新井佐次郎『秩父西谷老譚』

 秩父事件に関する著者の話を何度かうかがったことがある。
 演説口調とは対極の静かな語り口ながら、事件関連の同氏の著作にあるように、地を這うような調査が印象的だった。

木村迪夫『減反騒動記』

 安全保障の基本は食糧の確保だろう。
 戦後の保守政権が安全保障を真剣に考えてるのか疑わしいのは、食糧政策が恐ろしく杜撰だからだ。