近世史の最近の記事

エンゲルス『ドイツ農民戦争』

 1850年に書かれた本だが、民衆運動の歴史を描いた本としての魅力はなくなっていない。

春日太郎『山里に花開く高遠の石工』

 高遠石工と守屋貞治についての概略と、守屋仏・高遠仏を求めての紀行文。

須田努『幕末社会』

 天保から慶応にかけての幕末民衆史。

加藤祐三『黒船異変』

 ペリー来航時の幕府の対応や民衆の反応について、社会史的に詳説している、興味深い本。

奥村正二『火縄銃から黒船まで』

 『小判・生糸・和鉄』の正編。
 江戸時代の銃砲・造船・鉱山技術について概説している。

奥村正二『小判・生糸・和鉄』

 造幣・養蚕製糸・製鉄の各分野における江戸時代技術史。
 文献と実物に即して論じられており、興味深い。

田中圭一『村から見た日本史』

 江戸時代の百姓の実態がどのようなものだったかを論じている。

高橋敏『江戸村方騒動顛末記』

 武州多摩郡宇奈根村で19世紀に起きた村方騒動について掘り下げている。

高橋敏『博徒の幕末維新』

 竹居安五郎の人生をたどりながら、甲州・武州・下総などの博徒の幕末史を描いている。

高橋敏『清水次郎長』

 清水次郎長こと山本長五郎の一代記。

 『義民が駆ける』が描く三方領地替え反対運動をより深く味わうためのウンチクが語られている。

白川部達夫『近世の百姓世界』

 近世百姓の人間関係・土地関係等の変化を丹念に分析した書で、とても読み応えがあった。

小澤浩『中山みき』

 中山みきの略評伝。

保坂智『百姓一揆とその作法』

 江戸時代の百姓一揆像に根本的な再検討を加えている。

藤沢周平『義民が駆ける』

 天保期に庄内藩で起きた、三方領知替えに抗する闘いを描いた小説。

 江戸時代末期の世直し状況が、特に意識の面でどのような状況だったのかを論じており、興味深い。

落合延孝『八州廻りと博徒』

 江戸時代末期の関東在村における風俗取締の実態を詳述した書。

渡辺尚志『百姓たちの山争い裁判』

 村方騒動も多くの場合訴訟という形になる。
 その展開をていねいに見ていくと、小前の政治的主体形成を追うことができる。

若尾政希『百姓一揆』

 百姓一揆物語の検討を中心に、百姓一揆像を見直した書。

司馬遼太郎『功名が辻』(1-4)

 山内一豊と千代の伝記小説。

栗田良助『悪惣』

 武州世直し一揆を、指導者の一人とされる下成木村惣五郎を中心に描いた小説。

佐藤健一『和算家の旅日記』

 江戸時代における数学の発達や普及がどのように行われたかを簡略に述べた書。
 類書を見ないので、興味深く読んだ。

佐藤健一『真説 甲州一揆』

 郡内騒動の概略と、その頭取だった犬目村兵助の逃亡の顛末をまとめた書。郡内騒動を歴史的に位置づけようとした書ではない。

大江志乃夫『木戸孝允』

 倒幕までの木戸孝允(つまり桂小五郎)の思想的転回を分析した書。

田中彰『吉田松陰』

 吉田松陰がどのように描かれてきたかを検証した本。
 松陰の伝記ではない。

奈良本辰也『高杉晋作』

 高杉晋作の評伝。

奈良本辰也『吉田松陰』

 明治維新ひいては近代「日本」を準備したのが吉田松陰であるならば、彼は福沢諭吉と並ぶ、とてつもなく巨大な思想家だったことになる。
 はたしてそうなのか。
 松下村塾は、世界遺産に値する学びの場だったのか。

木下達文『木食白道』

 微笑する荒彫りの仏像の作者といえば円空を想起するが、甲州に木喰行道とその弟子の木食白道がいる。
 本書は、史料の少ない白道の評伝である。

星亮一『長岡藩軍事総督河井継之助』

 長岡藩幹部として戊辰戦争を戦った河井継之助の伝記。

田中委左美『伝馬騒動と義民・兵内』

 増助郷に反対して明和元(1764)年に中山道周辺の村々の民衆が蜂起し、江戸への強訴を企てた広域一揆である伝馬騒動の指導者とされる武州児玉郡関村名主兵内を主人公にした、歴史小説。

青木美智男『小林一茶』

 文化文政期・天保期の歴史の中に一茶を位置づけようとした書。

 前半はキリスト教の禁教の経緯、後半は民衆と寺社の関わりについての具体例を示した書だが、前半部分と後半部分とがどのような論理的脈絡でつながっているのか、よくわからなかった。

斉藤洋一『身分差別社会の現実』

 列島における賤民身分に関する研究の到達点をわかりやすく解説した書。

 本書のテーマは賤民身分の起源や実態についてだが、身分制度そのものについての記述も参考になる。

山本英二『慶安の触書は出されたか』

 ほとんどの歴史の教科書に出てくる、いわゆる「慶安の触書」と題された禁令の周辺に関する論考。

 この禁令が、多くの参考書や史料集に掲載されており、大学入試にも出題されている史料なだけに、これが実在しなかったことを実証した本書は、興味深い。

 近世の村人たちの家族や人生がどのようなものだったのかを概説した本。
 これも類書が少ないので、助かる本である。

水本邦彦『草山の語る近世』

 主として近世の村における採草地の意味についての概説書。
 同様の書が見当たらないので、ありがたい本である。

山下恒夫『大黒屋光太夫』

 天明2(1782)年に遭難してから寛政5(1793)年まで、ロシアに保護されて、帰国後、貴重な滞露体験者となった船頭・光太夫の記録。

佐藤常雄他『貧農史観を見直す』

 貧困と階級闘争によって描かれる江戸時代像の克服を提起した書。

田中圭一『良寛の実像』

 物語と化した良寛像を、史料に基づき批判した書。

太田巌『秩父往還』

 武州大宮郷から雁坂峠を越えて甲州に至る道が秩父往還である。
 秩父往還にまつわる歴史をエッセイ風に記した本。

菊池勇夫『飢饉』

 多くの日本人にとって、人が餓死するという事態など想定できないようです。
 日本は食糧自給率が30パーセントなのですから、場合によっては国民の三割しか生き残れない情況が訪れる可能性があるのに、為政者は現状を何とかしようというとは思っていないようです。

永原慶二『富士山宝永大爆発』

 1704年初冬に起きた富士山の噴火による被害を、幕府や小田原藩がどのように救済・復旧しようとしてきたかをあとづけた本。

永原慶二『新・木綿以前のこと』

 木綿が商品作物として栽培されるようになったことが、経済史的にどういう意味を持っているかをわかりやすく説いています。

深谷克己『日本の歴史6 江戸時代』

 封建制は克服すべきものと思っていましたから、江戸時代日本の諸制度は、克服の対象として考えることが多かったように思います。

網野善彦『日本社会の歴史(下)』

 日本がいつ、どうしてこんな国になっちゃったのか。
 日本はむかし、どういう国だったのか。

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