2010年3月アーカイブ

 現代人として生きることの意味について考える本。
 言うまでもないことだが、「ニート」と蔑称されている人々に気合を入れようとする本ではない。

新田次郎『武田三代』

 長編小説『武田信玄』のエチュード的な位置にある短編集。
 いずれも楽しめるが、「武田金山秘史」が興味深い。

山本素石『渓流物語』

 古き時代の、渓流の記録。
 釣りの話がたくさん出てくるが、釣行記ではない。
 また、古き時代とはいえ、よき時代の話でもない。

 修験道の教義をわかりやすく説いた書物を探しているのだが、なかなか見つからない。
 この本を読んでみても、うなづける点はもちろん、多々あるのだが、目からウロコというわけにはいかない。

新田次郎『富士に死す』

 富士講六世の行者、食行身禄の伝記小説。

熊谷栄三郎『新ふるさと事情』

 風前の灯とも言える山村暮らしの聞き書き。
 対象は主として、丹波・丹後・湖北だが、聞取りが1981年頃とのことなので、それから30年がたとうとしている現在、ここに紹介された人々の多くは、もうご存命ではないと思われる。

立松和平『大洪水の記憶』

 濃尾平野下流部の輪中地帯における、洪水と河川改修の歴史を概略した本。
 タネ本はおおむね、国土交通省の出版物のようだ。

不破哲三『北京の五日間』

 中国の歴史にとって毛沢東が、混乱・混迷をもたらした疫病神だったことは疑いない。
 この党の独裁者が毛沢東だった故に、中国共産党が権力を握ったことが中国民衆にとって幸福だったかどうかも、保留せざるを得ない。

彭徳懐『彭徳懐自述』

 文化大革命の渦中にあって、毛沢東らによって粛清された中国人民解放軍の指導者、彭徳懐の自伝。
 自伝として発表するために書かれたものではなく、査問を受けるにあたって、彼が提出させられた、経歴書である。

ユン・チアン『マオ』(上下)

 毛沢東の伝記。
 上下で1100ページを超える大著であり、脚注や参考文献は本には収録されておらず、出版社のサイトからダウンロードできるようになっている。