2021年3月アーカイブ

寺崎修『明治自由党の研究(上)』

 この巻では、自由党の結党から解党に至る、主として組織・路線面の流れについて、新聞や密偵報告などによってあとづけている。

榎原雅治『室町幕府と地方の社会』

 この時代は近世に接続する時代だが、史料は非常に少なく、生活の具体層はほとんどわからない。

五味文彦『武士の時代』

 鎌倉時代から室町時代にかけての地域社会については、史料が少なく、はっきりしたイメージを作りにくい。
 しかし、登場人物にまつわるエピソードだけが歴史なのではない。
 歴史は、地域社会の変容の歴史が基本だと思っている。

 『義民が駆ける』が描く三方領地替え反対運動をより深く味わうためのウンチクが語られている。

白川部達夫『近世の百姓世界』

 近世百姓の人間関係・土地関係等の変化を丹念に分析した書で、とても読み応えがあった。

小澤浩『中山みき』

 中山みきの略評伝。

保坂智『百姓一揆とその作法』

 江戸時代の百姓一揆像に根本的な再検討を加えている。

三浦英之『白い土地』

 原発事故から10年を前にした周辺地域の現実を深く掘ったルポ。

藤沢周平『義民が駆ける』

 天保期に庄内藩で起きた、三方領知替えに抗する闘いを描いた小説。

武田砂鉄『わかりやすさの罪』

 ものごとを単純化したり、不透明な部分を捨象して、わかりやすく説明することや、単純化して理解することによって、十分吟味されなければならないことが捨て去られることを批判している。

 江戸時代末期の世直し状況が、特に意識の面でどのような状況だったのかを論じており、興味深い。

稲田雅洋『自由民権運動の系譜』

 自由民権運動とは言論によってよりよい政体を実現しようとする政治運動だったという理論のもとで、幕末から民権期にかけてどのような人々が立憲政治を模索したかについて追究し、そこでめざされたものがその後どのように継承されていったかまで追っており、言論運動としての民権運動の流れが、わかりやすく説かれている。

月別 アーカイブ