2021年2月アーカイブ

藤野裕子『民衆暴力』

 新政反対一揆・秩父事件・日比谷焼討事件・関東大震災時の朝鮮人虐殺において、民衆が暴力を振るったことの意味について考察している。

藤田孝典『下流老人』

 『続・下流老人』より約1年前に出された正編。

桐野夏生『日没』

 『1984年』よりはるかにリアルで、恐ろしい小説。

 「日本」とは、世界を支配する多国籍資本が民衆を馴化しつつ、富を吸い上げるシステムが稼働する現場であると述べ、なかでも「北朝鮮のミサイル」とは、多国籍資本によるヤラセであると主張している。

大城立裕『焼け跡の高校教師』

 占領期の沖縄における高校のようすを描いた美しい小説。

柳美里『JR上野駅公園口』

 福島県浜通り出身で、上野駅周辺でホームレスとして暮らす人の目に映し出された戦後とはどのような時代だったのかを描いた小説。

祖田修『鳥獣害』

 帯に「いま、日本で起きていること」とあるので、鳥獣害の現状や対策について書かれた本かと思ったが、そうではなく、主題としては、人と野生動物との関係についての思想史的な考察が中心の本。

西浦博『理論疫学者・西浦博の挑戦』

 2020年2月から夏ごろにかけて感染症の専門家と政府が、covid-19のパンデミックに対しどのように取り組んできたのかを時系列で綴っている。