2006年9月アーカイブ

斎藤貴男『空疎な小皇帝』

 (障害者に対し)「あの人たちに人格があるのかね」
 (同じく)「自分自身のアイデンティティを持たない人の命も尊重する日本人独特の感性」
 「女性が生殖能力を失っても生きてるってのは無駄で罪です」

柴田尚『森のきのこたち』

 富士山・八ヶ岳・金峰山など亜高山帯の針葉樹林におけるきのこの生態について解説しています。
 ですます体で書かれているので、一見やさしい本かと思いますが、内容的にはかなり専門的なデータ分析がほとんどです。

新藤兼人『現代姥捨考』

 老シナリオライターの自己との対話。

 回想記である『言い残したい森の話』以上に、森に関する蘊蓄とヒントに満ちた本。
 森に関する語りの部分には、知的刺激に満ちたテーマがあふれています。

 カミキリムシ採集家の採集記とガイド。

 山で捕虫網を構えた大人を見ると、とてもイヤな感じがします。

小関智弘『仕事が人をつくる』

 かつて立花 隆氏が『青春漂流』(講談社文庫)で紹介されたその道のプロたちの生きざまは、衝撃的でした。

 本書の最後にもふれてありますが、著者は無着成恭編『山びこ学校』の生徒の一人です。

 この国は、国土の大部分を山(傾斜地)によって占められています。
 こういう国が持続していくために、どのような暮らし方が必要か。
 わたしは、そのように問題を立てたいと思います。

大平健『豊かさの精神病理』

 モノを語る人々の群像を、精神科の医師が分析しています。

 ここで言う「モノ」とは、ブランド品であったり、グルメであったり、ペットであったり、恋人であったりしますが、総じて彼らは、そのモノを身にまとうことによって自分の価値が大きくなると考えています。

 宗教学者とお笑い芸人による対談。
 話題は縦横に飛び回っていますが、憲法第9条は世界遺産に匹敵する価値を持つと主張しています。

佐藤洋一郎『クスノキと日本人』

 特定の樹種が古い文献上で何度も特筆されているというのは、ただならぬことです。
 古代王権あるいは古代の地方政権にとって、クスノキがどのような意味を持っていたのかを追求した書。

 原発という技術・産業に内包される構造的な問題点を指摘した書。

 原発技術・産業と他の技術・産業との相違は、裾野が存在しないという点のようです。
 それはおそらく他の国にとっても同様なのでしょう。
 国策として、上からの技術開発が進められることによって、技術と産業にどのような歪みを生じたか。