2008年2月アーカイブ

雨宮処凛『生き地獄天国』

 プレカリアート(不安定雇用のもとで苦しむ主として若い人々)を代弁して新自由主義的エートスにきびしい反撃的発言をしている著者の自伝。

 イギリス系アメリカ人がネイティブ系アメリカ人をどのようにして殲滅して「アメリカ合衆国」を作ってきたかを略述した書。

礫川全次『アウトローの近代史』

 著者は、公権力の法的支配の範囲外に位置する組織(勢力)をアウトローと呼ぶ。
 そうした存在が歴史的系譜を持つものとは思えないが、著者は、汎歴史的に存在したアウトローが歴史的に一定の役割を果たしてきたと評価し、近代史上におけるアウトローをあとづけている。

 『私は貝になりたい』の著者である加藤哲太郎が所長を務めていた新潟俘虜収容所で俘虜として体験したことを証言した書。

小田実『中流の復興』

 人が自由に生きていく上で、社会や国家とかかわらなければならない。
 社会や国家とのかかわり方についての、著者の最近の語りを集めた本。

NHK取材班『ワーキングプア』

 本人の努力不足とか、偶然の不幸などという原因がないにもかかわらず、憲法第25条に規定する生存権が保障されない現実が深刻化しつつある。
 1年前に同名の書を読んだが、首相が替わっても状況は変わっていない。

林滋子『中国・忘れえぬ日々』

 帰国する在日中国人の妻として1953年に中国に渡り、1972年に帰国するまでの間の体験記。
 結果的にだが著者は、反右派闘争(1957)、大躍進運動(1958)、社会主義教育運動(1965)、プロレタリア文化大革命(1966-)などを、外国人ながら一人の民衆として体験されている。