食べものと身体の最近の記事

 食事は基本的に、一汁一菜すなわち、ご飯と味噌汁と漬物でよいと主張している。
 著者は料理研究家だが、いわゆる栄養学的な論でないし、かといって単なる印象論でもないが、非常に納得感のある提案である。

藤田紘一郎『こころの免疫学』

 ヒトの身体における、精神を安定させる機能と免疫機能とが、腸の状態と連動していることを説いた本。ある程度専門的である。

村井吉敬『エビと日本人2』

 同じ著者による『エビと日本人』(1988年)の全面改稿版。

 本書には、エビをめぐるこの20年の変化が追われている。

古守豊甫『長生きの研究』

 内容的には『短命化が始まった』と重なる部分が多い。

農文協文化部『短命化が始まった』

> 山梨県棡原村をフィールドとする、食生活と食意識の調査報告。

 たいへんな力作である。

 遺伝子を操作することができる社会が到来しつつある中で、今後、どのような問題が生起するのかを縦横に語った対談録。

 雑穀食に関するシンポジウム記録。

 従って、問題を深く掘り下げた本ではない。

山下惣一『産地直想』

 佐賀県の専業農民である著者のエッセイ集。

山下惣一『身土不二の探究』

 「身土不二」とは、肉体と大地は二つのものではないという意味である。

 人が、大地に依って生きているというのはあたりまえのことだが、資本の論理は、人と大地を引き剥がそうと作用する。

島村菜津『スローフードな日本!』

 『スローフードな人生!』の著者による、日本列島のスローフード紹介。

島村菜津『スローフードな人生!』

 自分が毎日食っているのはたぶん、スローフードだと思う。

山下惣一『直売所だより』

 佐賀県の海沿いで水稲・みかんなどを作っている農業者によるエッセイ。

 天候や鳥獣の害はあきらめざるを得ないが、自動車産業や政治屋かウマイ汁を吸うことの代償に、農業がつぶされるというのは、あまりに理不尽である。

村井米子『マタギ食伝』

 戦前から戦後にかけて各地の山を歩かれた著者による、山の食に関する記録。

 ことさら目新しい内容ではないが、山案内の人や職業的な猟師からの見聞や実験談なので、それだけリアルに感じる。

さとうち藍『ふるさと野菜礼賛 』

 各地のいわゆる「伝統野菜」の周辺を取材したルポ。

 栽培農家や野菜そのものだけでなく、例えば豆腐屋のような加工業者や種苗店・地域の食材にこだわったレストランのように、伝統野菜が存続するうえで欠かせない人々からも取材している。

 かつて農林中金や全農の指導者であり、のちには有機農業運動の草分け的存在となった一楽照雄氏の語録のアンソロジー。

安田節子『自殺する種子』

 世界の食がどうなっており、「日本」の食はどのような方向に向かっているかをまとめた本。

 肉や牛乳に関する記述も多いが、まずは表題にある、農作物種子の現状について、しっかり読むべきだと思った。

稲垣栄洋『雑草の成功戦略』

 いわゆる雑草の生態についての、肩のこらないエッセイ集。

増田昭子『雑穀を旅する』

 列島において一般的な雑穀は、キビ・アワ・ヒエの三種類だろう。

 これら以外にソバ・タカキビなども古くから作られているが、ソバはあまりにもメジャーだし、タカキビは、どこでも栽培されていたわけではなさそうだ。

 三種類の中で、キビは後発の穀物なのか、『古事記』や『日本書紀』の「五穀」に入っていない。

市川健夫他『地域を照らす伝統作物』

 伝統作物とは、各作物における、それぞれの地域独特の品種のことである。

鹿野政直『健康観にみる近代』

 近現代の日本で、「健康」がどのように位置づけられてきたかを検証した本。

 著者は、近代史を教えていただいた先生の一人なので、一年間の講義を受けているような感覚で読んでしまう。

小泉武夫『発酵は力なり』

 たいへん多くの著書を持つ醸造学・発酵学者による、発酵食についての概説。
 発酵食についての啓蒙書でもあるらしく、文章にめりはりがないのが気になりはしたが、内容はとても面白い。

小林貞作『ゴマの来た道』

 アフリカのサバンナで発生した(現在はインド原産という説もあるらしい)ゴマが、どのように変異しながら世界各地へ広がっていったのかを概説した本。

 正しい歩き方の指南書。
 歩き方といっても、山歩きの歩き方ではなく、平地での歩き方について解説している。

山本紀夫『ジャガイモのきた道』

 ジャガイモの歴史に関する最新の概説。
 アンデス高地におけるジャガイモの栽培や消費について詳説しているので、興味深い。

村井吉敬『エビと日本人2』

 『エビと日本人』の続編。

本多勝一『はるかなる東洋医学へ』

 多くの日本人と同じように、受身の医療を受け続けてきた。
 これからも、あまり主体的にはなれそうにないが、この本などを読むとそれではいけないのかなと思う。

筑紫哲也『スローライフ』

 スローライフは、社会の永続可能性を一義的に考える暮らし方と考えています。
 それがよいことかよくないことかは、私にとっては自明のことです。

菊池勇夫『飢饉』

 多くの日本人にとって、人が餓死するという事態など想定できないようです。
 日本は食糧自給率が30パーセントなのですから、場合によっては国民の三割しか生き残れない情況が訪れる可能性があるのに、為政者は現状を何とかしようというとは思っていないようです。

 先日、滋賀県内をドライブしていたら、地名がずいぶんおかしいので、道に迷ったかと思いました。

 食のグローバル化を俯瞰した本。

 農産物や加工食品は、前世紀前半には、文字通り農業の産物だったのに対し、後半からは工業製品に近くなっていきました。

村井吉敬『エビと日本人』

 1988年刊行と古い本ですが、鶴見良行『バナナと日本人』(岩波新書)とともに、食のグローバル化に関するリポートの先駆的な作品。

 食べ物におけるグローバル化の実態と問題点を調べた本。
 取り上げられている食べ物は、ハンバーガー、牛丼、輸入野菜、ウナギ、そしてワカメです。

西丸震哉『食物崩壊』

 『こんなものを食べていたのか』(青春出版社)とほぼ同内容の本です。
 すなわち、「食」に関する現代日本人の考え方がいかにまちがっており、このままいくと人類に先がけて没落・滅亡するであろうという話が書かれています。

西丸震哉『さらば文明人』

 類書に本多勝一氏の『ニューギニア高地人』があります。
 こちらは、『41歳寿命説』以来、生態学の見地から日本人への警告を発し続けておられる著者が、主として食の分野における調査をおこなった際の紀行文です。

近藤四郎『ひ弱になる日本人の足』

 人間にとって、二足歩行することが、どういう意味を持っているかについて、多方面から解き明かした本。

植松黎『毒草を食べてみた』

 カバー裏には、「これは、そうした毒草を食べてしまった人たちの世にも怖ろしい44の物語である」とありますが、そんな本では、ありません。

篠永哲・林晃史『虫の味』

 日本人の昆虫食についての本かと思いましたが、昆虫の味や料理法についての実験談です。

 この本は楽しい本です。
 『週刊金曜日』に、長らく連載されてきた漫画を、一冊にまとめたものです。

西丸震哉『滅びの大予言』

 内容的には、『41歳寿命説』(情報センター出版局)の続編の形になりますが、この本における西丸氏の筆致は、『41歳寿命説』に比べると、絶望的というか、あきらめの境地を強く感じさせます。

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