2010年2月アーカイブ

高田宏『荒ぶる自然』

 2010年2月現在、民放ラジオでとても不愉快なCMが流れている。
 それは耐震住宅の宣伝で、女優らしき人が「もう地震は怖くない」と断言するのである。
 何たる不遜。何たる傲慢。

知花昌一『焼きすてられた日の丸』

 1987年10月に行われた国民体育大会ソフトボール競技の開会式会場に掲げられた「日の丸」を著者が引き下ろして焼き捨てた事件とその後の裁判は、この時期を画するエポックだったのだと感じる。

高文謙『周恩来秘録』(上下)

 文化大革命の開始からその死に至るまでの周恩来の評伝。
 個々の事実に関する著者なりの見解が散りばめられてはいるが、上下あわせて700ページに及ぶ大著に記されている事実には、出典があげられている。

寺林峻『富士の強力』

 1935(昭和10)年から1994(平成6)年まで吉田口で強力(案内人)をつとめた小俣彦太郎の評伝。

根深誠『ヒマラヤを釣る』

 登山口から下山口まで歩く山歩きがダメだというわけではないが、そんな山行にはふくらみがないという気がする。

王慶祥『溥儀・戦犯から死まで』

 愛新覚羅溥儀の後半生を描いた評伝。
 出生からソ連軍による逮捕まではこの本には記されておらず、本書のテーマが溥儀の人間的「改造」だということがわかる。

牧野富太郎『牧野富太郎自叙伝』

 『花と恋して』がお弟子さんによる評伝だったのに対し、こちらは本人による自伝。

なだいなだ『民族という名の宗教』

 社会主義体制の崩壊という現実に際して、社会主義とは何か、民族とは何かという問題を考えようとする、架空の対談。