2009年12月アーカイブ

野添憲治『花岡事件と中国人』

 花岡事件当時の中国人側のリーダーだった耿諄からの聞き書き。
 『花岡事件』とちがって、こちらは事件から50年近くたってからの回想だが、かなり細部までよく覚えておられる。

小林峻一・加藤昭『闇の男』

 日本共産党のかつての指導者で、コミンテルンの幹部でもあった野坂参三の正体を追求した書。

劉智渠『花岡事件』

 1945年に白神山麓・花岡鉱山で起きた、中国人捕虜の蜂起が花岡事件である。
 本書は、蜂起の当事者でもあった著者の口述をまとめたもので、1951年に刊行された初版の新装版である。

米田綱路『抵抗者たち』

 「日本」がどのような国家になっていくのかを決定づけるような重要なエポックが、戦後史の中にいくつかあった。
 場面場面において、抵抗者の声は圧殺され、国家の論理が貫徹したかに見える。

上村登『花と恋して』

 お弟子さんによる、牧野富太郎の伝記。
 アカデミズムとつかず離れずの立ち位置にいた牧野が、植物分類学という、基礎的で困難な仕事において巨大な紙碑を残した事績を丹念に追っている。

 「太平洋戦争」末期の1944年、グァム攻防戦のさなかにアメリカ軍に投降した兵士(階級は兵長)の戦記。
 戦争の現実は、類書をいくら読んでも、鬱になる。

高橋義夫『田舎暮らしの探求』

 長野県木島平村に週末暮らしを始めた出来事記。
 生活の拠点を村に移すのでなく、ライターとしての職業は都会の自宅でこなし、山村生活をエンジョイしようという暮らし方である。