原発

 電源三法交付金がなくては生きられないのは、地元の原発関連企業だけではない。
 地元自治体さえ、このカネがなければ存続できなくなっている。

 毎日JPによれば、「福島、福井両県の6町が11年度、職員の人件費の3割以上を電源3法交付金で賄っていた」らしい。
 人件費に充てた割合が最も高かったのは、町職員の人件費8億5431万円の94%に当たる8億216万円を充当した福島県楢葉町だった。という。

 佐藤栄佐久氏の『福島原発の真実』には、福島原発が立地することで莫大な固定資産税が地元に落ちているということが書かれている。
 第一原発がある大熊町の固定資産税比率は約48パーセント、楢葉町は36パーセントである。
 佐藤元知事は、これらの自治体は、地域に根ざした産業を創りだそうとするのでなく、「座っているだけで固定資産税が入ってくる道を選んだ」と述べている。

 これらの自治体から原発を奪えば、既に屍同様だ。
 しかし、国や電力会社からカネをもらって生きることが異常と感じられなくなった時点で、すでにゾンビ化しているといえないか。

電源三法交付金

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 電気料金を原資に原発の地元自治体に交付される「電源三法交付金」については、昨年7月に、それが地元「有力者」の資金源になっていることを書いた。

 朝日新聞デジタルによれば、給付金の交付事業を自治体から請け負っている財団法人「電源地域振興センター」は、経産省から天下ってきた官僚OBが役員をつとめており、財団法人は、請け負った事業を電力会社に丸投げして、差益を得てきたらしい。

 つまり電源三法交付金は、経産省から天下った元官僚たちと電力会社が中間マージンを取り、残りを地元「有力者」がフトコロに入れるという形で回っているのである。

 このカネを食いものにすることでしか生きられなくなったゾンビたちが、安倍首相が登場したことがよほど嬉しいらしく、キャアキャア騒ぎ始めた。

 安倍晋三氏は、30日、TBSの番組に出演し、原発について「新たにつくっていく原発は、事故を起こした東京電力福島第一原発とは全然違う。国民的理解を得ながら新規につくっていくということになる」と述べたそうだ。

 また、茂木敏充経済産業相は27日の記者会見で、原子力規制委員会が安全確認した原発の再稼働について「政府の責任で決めたい」と述べ、政府が前面に立って地元自治体などと調整を進める考えを明らかにしたらしい。
 要するに今後、原子力規制委員会が安全「宣言」すれば、政府として原発を新規に建設していくんだということのようだ。

 安倍氏の原発安全物語は、以前から変わっていない。

 2006年、吉井英勝議員の質問に答えて彼は、我が国において、非常用ディーゼル発電機のトラブルにより原子炉が停止した事例はなく、また、必要な電源が確保できずに冷却機能が失われた事例はない。とか「我が国の原子炉施設は、(非常用電源が作動しなかったスウェーデンの)フォルスマルク発電所一号炉とは異なる設計となっていることなどから、同発電所一号炉の事案と同様の事態が発生するとは考えられない」「(停止した後の原発では崩壊熱を除去出来なかったら、核燃料棒は焼損(バーン・アウト)するのではないのか。その場合の原発事故がどのような規模の事故になるのかとの質問に)経済産業省としては、お尋ねの評価は行っておらず、原子炉の冷却ができない事態が生じないように安全の確保に万全を期しているところである」などと答弁している。

 彼が、モノゴトを真剣に考えずに、経産省の官僚が書いた脳天気な答弁をしてたから、「我が国において、非常用ディーゼル発電機のトラブルにより原子炉が停止した事例」や「必要な電源が確保できずに冷却機能が失われた事例」が発生したのではないか。

 「停止した後の原発では崩壊熱を除去出来なかった」から「核燃料棒は焼損」したのであり、「原発事故」が発生したのだから、事態は、吉井氏の言ったとおりに推移したのである。

 「業務上必要な注意を怠り人を死傷させた場合は5年以下の懲役・禁錮または100万円以下の罰金」である。
 福島第一原発の事故に対する刑事告発が始まっている。

 東電・御用学者・原発関連官僚・政治家の犯罪をここではっきりさせないと、事故のために生活をメチャクチャにされた人々や、命ある全ての存在が浮かばれない。

きのこ線量

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ナメコデータ


シイタケデータ

 小鹿野市街地に近い畑で作っているシイタケとナメコが出始まったので、私達の未来測定所・秩父おがので線量を測定してもらった。
 結果は、ナメコでキロあたり2.1ベクレル、シイタケでキロあたり9.6ベクレル。いずれも「不検出」と評価された。

 庭で作っているシイタケは、今年の春の時点でセシウム134と137の合計値がキロあたり78ベクレルだった。
 この数字も「不検出」だが、これを「不検出」というのは今ひとつ納得できないものがある。

 秩父地方の場合、福島第一原発から飛散した放射性物質は、主として山間部に飛来し、蓄積していったのだということがうかがえる。

 kurooさんの「山里の記憶」を取材したNHKの番組をこちらで見ることができる。
 たいへんよくできた報道だと思う。

 暮らしの知恵の宝庫だった一帯を、放射性物質が席巻したということになるのかもしれない。
 許されざることだ。

山のきのこ全滅

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 イワナだけでなく、きのこからも、セシウムが出ている。

 朝日新聞デジタルによれば、野生きのこに出荷制限がかかっているのは、現時点で、青森・岩手・宮城・福島・栃木・群馬・埼玉・山梨・静岡・長野の各県である。
 千葉や茨城で、放射性物質が検出されないはずがないから、東日本から東北にかけての山のきのこは、すべて汚染されていると見ていいだろう。

 青森県や静岡県は福島から遠いから、放射能の影響は低いだろうというのは、なんの根拠もない無意味な楽観論にすぎない。
 日本列島全体がすでに、子育て不適地になっていることを、思い知らねばならない。

 それでも原発を再稼働するとか、建設中の原発は完成させて稼働させるとか言ってる人々のアタマは、どうなっているんだろう。

 東京新聞に、新田川のイワナから1400ベクレルの放射性セシウムが出たという記事がのっている。
 いよいよこういうことになってきたという思いである。

 放射性物質は、落ち葉に吸着される。
 沢に落ちた落ち葉は、川虫が食べる。
 イワナは川虫を主食としているのだから、放射性物質が生物濃縮されるのは当然だろう。

 このようなことが起きたことに対し、責任あるものには、責任をとらせねばならない。

オオウラジロノキ酒


 雨は午前中にあがったのだが、Movable TypeをVer.5.2にバージョンアップしようとしたら、エラーが返ってきて、アクセス不能となった。
 いろいろと試したが、原因は不明で、ニッチもサッチもいかなくなりそうだったので、元のバージョンに戻したら、復元できた。
 同様のエラーをググってみたが、あまり一般的ではないらしいので、それ以上いじるのをやめたが、アクセスはできるものの、投稿不能。
 プラグインを復元してようやく書き込みができた。

 午後はずっと農作業。

 大根の間引き。
 キビの刈り取りを半分くらい。
 大除草。

 毎日新聞のスクープなのだが、福島県の県民健康管理調査について専門家が意見を交わす検討委員会で委員が発言すべき内容などを記した議事進行表を県が事前に作成していたらしい。
 この記事では、県の担当者は「座長(山下俊一・県立医大副学長)のメモ的なものとして作った可能性はある」と話したとも述べている。

 山下俊一氏は、「百ミリシーベルト以下の被曝線量では健康に与える影響は証明することはできません、だから私は、百ミリシーベルト以上は心配しましょう、これ以下はすぐには全く心配要らない、そう言っています」「ニコニコ笑っていれば放射能の被害は受けません。クヨクヨしていれば受けます」のたぐいの発言で世界的に有名になった「専門家」である。

 自分の発言によって福島と日本列島の子どもたちが将来、どんなに苦しむとしても、この人たちは、良心の呵責も感じないし、そもそも、責任さえ課せられないことを知っている。
 それは、安全でない原発を安全だと言いくるめ、これだけの大惨事を引き起こしておきながら、歴代自民党政権の政治家や官僚、電力会社幹部や「専門家」たちが、なんの罪にも問われていないのを見て、たかをくくっているからである。

 写真は、オオウラジロノキのリキュールである。
 材料のオオウラジロノキは、福島県十万劫山で2003年に拾ったから、9年ものである。

 オオウラジロノキは、チョウセンゴミシについで、リキュール材料として秀逸だと思っている。
 年月を重ねて、渋み・酸味・甘みの効いた素晴らしい酒に結晶しているのだが、原発事故のことを思うと、腹立たしくなるのが口惜しい。

東京に原発を

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 東京都の石原知事が、もんじゅの廃炉はとんでもないという話の流れで、今後の原発新設について「半分本気で東京に造ったらいいよ」と語ったらしい。

 「半分本気」というのが何を意味しているかわからないが、そんなに原発を誘致したいならまず、福島の放射性物質を東京都で引き受ければどうだろうか。

電源開発促進税

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 原発建設資金は、国民の税金によって賄われている。

 東京新聞によれば、国が電力会社に「電源開発促進税」を課税しているが、その課税分は発電に必要なコストだとして電気料金に転嫁されている。
 従って、「電源開発促進税」は電気料金に含まれる形で、現在も、電気利用者が負担している。電気を一切買わない人は殆どいないと思われるので、それはイコール国民負担といってよい。
 上の記事によると、電気料金には消費税がかかっているから、現状、「電源開発促進税」にも消費税がかかっている。従って、消費税の税率が上がると、「電源開発促進税」を納めるのに伴って賦課される消費税も上がってしまうという話である。

 こちらによれば、この税の使途はとくに限定されていないから、なんでもありで、福祉サービス・地場産業振興・動植物保護・森林保全なんていうのまである。
 最後の方のはひょっとしたら、尾瀬の木道敷設などに使われているんじゃないかという気もするが、基本は、地元自治体・権力者などへの利権提供である。

 自分の地元自治体(小鹿野町)の一般予算は50ないし60億円ほどだが、原発を誘致すれば、20年間で約900億円が地元に落ちる。
 そのカネは、大体が自治体首長や議員の関連企業などが箱モノを作ったりするのに費消されているらしい。(この点についても上記サイト参照)

 これを称して、「原発は雇用をもたらす」「原発は福祉をもたらす」というのだろう。
 第一原発が立地する大熊町は、事故発生まで、中学3年生までの医療費を無料にしてきた。
 原発交付金のオコボレの福祉など、拒否したいものである。

 立地自治体住民の横っ面を張り飛ばす札束は、結局のところ、この列島に人が住めなくさせるカネでもあるわけだが、それを国民から徴収するとは、なんとアコギなやりかただろう。

 読書ノートは書評ではないので、読んだあと感じたことのメモである。
 だから、ノートが本の主題と無関係だったりすることもある。

 『福島原発の真実』は原発関連本なので、同文をこちらにも掲載しておく。

以下読書ノートと同文

 福島第一原発の現場幹部と筆者+週刊朝日取材スタッフのタッグによって書かれた事故の顛末記。

 この事故については、原因も現状も、まだほとんどわかっていないと誰もが感じているはずだ。

 にもかかわらず、福井県大飯原発では安全宣言が出され、再稼働された。
 関西電力ではさっそく、他の原発も再稼働したいと言い始めている。

 それがどこに行く道なのか何もわかっていないのに、誰もがわかったような気になって、後戻りのできない道を歩こうとしている。
 無責任の極みである。

 2012年夏現在、『産経』あたりが中心になって、菅直人前首相への誹謗キャンペーンが続いている。
 菅氏が集中攻撃されている理由が、彼が「脱原発」を主張し始めたからであることは明らかだ。

 菅氏の感覚は、至極マトモである。
 彼は、すべてがパーになる事態は避けねばならないと言っているだけである。
 経済「成長」が大事か、この列島に永遠に住み続けることができることが大事かという問いの答えは、決まりきっているではないか。
 東電と原子力ムラは、権力と権威とカネを総動員して、この単純な問題をわかりにくくさせて、国民を騙そうとしているのである。

 本書で、事故の実態を矮小化して責任を免れようとする政府(官邸)と東電本社に対し、第一原発の現場は強い憤りを持っていると描かれている。

 安全神話に寄りかかって監督を怠ってきた政府にも重大な責任があるが、事故を起こしたのは東京電力である。
 本書を読むと、現場が生命をかけて必死で事故に対応してきたのは確かだ。
 しかし東電上層部は、最初から最後まで、責任逃れと現場任せ・他人任せに徹していた。

 地震も津波も、予測不可能だったわけでは全くない。
 政府・東電に対し、警告は何度も行われていた。
 しかし、東電はそれを「想定不要」とし、政府や官僚も東電の認識を追認したのである。

 もちろん、地震や津波を起こしたのは東電ではない。
 しかしあえて警告を黙殺したのは、どんなに甘く見ても、「過失」にほかならない。
 だから、これは東電と原子力ムラによる犯罪なのである。

 彼らの犯罪を詳細に明らかにし、責任を取らせなければならない。
 東京電力は、犯罪企業である。
 証拠隠しを許してはならない。

 原発の現場では今も、決死の活動が続けられている。
 最も危険な場所で生命を削っているのは、主に東電の下請け会社の人々である。

 原発をすべて廃止すれば、このような事故を繰り返さないことは、可能なのである。
 蓄積された放射性物質の捨場はまだ、見つかっていないから、全く安全な状態とは言えないものの、日本列島における人の暮らしは持続できる。

 電気など、使い放題に使わなくても、人間らしい暮らしは可能である。
 政治家・官僚諸君は、どういう暮らしが人間らしいかということについて、頭をフラットにして、ちょっと考えてみればどうか。


(ISBN978-4-02-331074-2 C0095 \1200E 2012,3 朝日新聞出版 2012,8,3 読了)

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