白崩避難小屋の一件

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ショウジョウバカマ満開

 午前中の雨と夕方の買い物に時間をとられたため、農作業できず。
 それでも、いくらか用がたせてよかった。
 今週末は雨予報なので、お出かけは無理かもしれない。

 土曜日の谷川では、清水峠で幕営した。その時の話だが、晩秋の戸隠以来の、珍パーティに遭遇した。

 我々8人パーティが清水峠に到着したのは、13時52分だった。
 ザックを下ろし、白崩避難小屋を覗くと、幸い先客は誰もいなかった。
 誰もいないのであれば、この小屋を使わせてもらうのに、問題はないはずなので、荷物を小屋に入れ、一息入れてから、小屋の外で炊事を始めた。

 15時半過ぎに、中年男性3人パーティが峠に到着し、小屋をのぞいてこちらのパーティに曰く、

「ここは、アンタたちみたいなのが、来るところじゃないんだよ」

と言う。言いたいことが今ひとつ理解できないので、「それはどういうことですか」と尋ねたところ、東京の某山岳会だというそのパーティが言いたいのは、

「10人しか泊まれない小屋に8人で泊まると、他の登山者が泊まれないではないか」

ということらしかった。
 小さな避難小屋をあてにして山に来る際に、念のためテントかツェルトを持参するのは常識だと思っていたので、

「テントもツェルトも持ってないんですか」

というと、先方は怒りをあらわにして、

「自分たちのような年配の登山者はそんな重いもの持てないんだ。アンタたちみたいな人たちこそ、テント持ってくるべきじゃないか」と大声を出すので、

「いや、テント持ってますが・・・」「私たちが小屋を出るのはかまわないけれど、宿泊地になるべく早く着くとか、こういう所に来るときにはテント持ってくるのが当然じゃないですか」

と言ってもなお、

「アンタたち、俺たちと年が違うだろ」

と言い募るのである。我々のパーティには確かに、このような登山が初めての15から16歳の少年が複数、含まれていたが、避難小屋の優先権は年齢によるという面白いルールを聞いたのは、初めてだったし、少年たちは、その言葉にたいへん傷ついた。

 当然のことだが、我々は小屋を完全に明け渡し、小屋わきのスペースで幕営した。
 某山岳会パーティはツェルトも持てない体力だというわりに、アルコールは持てるらしく、遅くまで清水峠で宴を張っていた。

 年齢も、老人というわけではなく、少なくとも私とは同年輩だった。
 要するに、彼らの言葉はすべて、15から16歳の少年たちに向けられたのである。

 山(というか尾根)に中高年ハイカーがあふれるようになって久しいが、ついに、身を守るためのごく軽い(ツェルトは重さ250グラムほど)装備すら持たない中高年がのさばる時代になったのかもしれない。

 今さえよければ、将来がどうなっても構わないという発想で、この国は、現在の惨状に行き着いた。それをリードしたのは、中高年世代である。毎日、子どもたちとつきあっていると、彼らにツケを残すのだけはイヤだと思うし、彼らを正しく立派に育てたいと、切に思う。

 それだけに、東京の某山岳会氏らの言動には、呆れてしまう。
 3人のうち1人はあとで、

「言い方が悪かった。申し訳なかった」と謝ってきたが、残りの二人は最後まで、ふてくされたままだった。

コメント(7)

山岳会の人でも、その程度の方がいるとは驚きです。山にも川にも居ますね、そういう方が。
ツエルトすら持参しない登山とか源流行をすること自体が自殺行為と思います。

こんな大人にならないようにしたいと常々思っています。

実名でいいんじゃないですか?山岳会の名称は。

この大人たちが、「ここへ来るな」とか「若いくせに」など、子どもたちに対し執拗に因縁をつけていたように思いましたので、たいへん気になりました。
 一番まともそうな人に対し、「あなたたちは子どもたちの心を傷つけたんだよ」と述べたことに対する返事が、「言い方が悪かった。申し訳なかった」でした。
 子どもの心は、ちょっと謝ったくらいでは、リカバーできないんですけどね。

はじめまして、以前 冨士山のアリドオシラン についてメールしたものです。
 上越は、雪が解けて、花が、咲きまじめ 、素晴らしい山歩きを楽しめるのに、
いやな思いも させてしまい残念
ですね、 最初から避難小屋を宴会に使う目的なのでしょうね

驚き、あきれ、恥ずかしいばかりの言動です。
山で高校生や大学生に会うとうれしくなります。「若いっていいね・・・頑張ってね!」が合言葉になっているものとばかり思っておりました。
もっとも「晩秋の戸隠」を読むと「大人がしっかり教える必要」も感じます。
中高年・・・団体になると気付かぬうちに周囲に迷惑をかけていることもあるかもしれないと自戒の意味を込めて投稿させていただきました。

サクラスミレ さま
 この時期の谷川連峰は、ほんとにいいですね。
 年間を通して気象変化の激しい山ですので、気象知識と装備に万全を期しさえすれば、草花や雄大な展望が楽しめます。
 この人たちと同じく、身を守るすべを持たない人が小さな避難小屋に殺到したら、どうなるのやら。

橋本裕子 さま
 土合から白毛門への急降下ですれ違ったおじさん・おばさんパーティは、子どもたちを明るく励ましてくれました。
 この子たちは昨年夏に、甲斐駒の黒戸尾根を幕営装備を背負って登ったのですが、その時には会う人たちみんなからほめられて喜んでいました。
 今回は頭ごなしに「ここへ来るな」と言われたわけで、「あれはいったい何だったんだろう」と反芻しているところです。

山は人間の本性がよく見えるところだ、という言葉を思い出します。ふだんは良いおじさん、おばさんでも、山で厳しい場面にでくわすと人格が変わります。自分だけ楽をしたい、助かりたいという気持ちをむき出しにしがちです。
15,6歳の青年(少年にあらず)には、ちょっと酷い体験だったかもしれませんが、ニンゲンというものを知るまたとない経験になったのではないでしょうか。

hitさま
 犠牲になられた方には申し訳ありませんが、昨年夏のトムラウシにおける大量遭難は検証番組を子どもたちに見せて、問題点を考えさせました。
 主体性なき登山・行き当たりばったり登山・リスク軽視の危険性などを教えているつもりですが、山は確かに、人間について学ぶ場所でもありますね。

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