7月29日から8月3日まで、秩父市の矢尾百貨店で、関根武さんの「百の樹の刻字展」が開かれる。
作者としては、2005年の「三十六の樹」、2008年の「五十の樹」に引き続き、「百の樹」を達成されたわけである。
彼の個展の見どころを自分なりに整理してみる。
まず第一に、材としての樹木を知ることができるということである。
作品を見ることで、それぞれの材の色合いや木目や光沢がわかるだけでなく、それらに実際に触れてみることによって、材の感触や重量感などを知ることもできる。
また、刻字製作は当然のことながら、鑿や彫刻刀など、刃物で字を彫る。
材の質は、刃を当てることによっても千差万別であり、たぶん会場に常駐されている作者に尋ねれば、材に刃物を当てたときの感覚なども、教えてもらえるだろう。
関根さんの刻字展ではまた、書の楽しさを知ることもできる。
いまの学校では、型にはまった「正しい」文字を書くことが、よしとされている。
しかし、書は、人の個性であり、人格である。
書は、基本はしっかり押さえつつ、各自の個性を精一杯表現すべきものだ。
関根さんは、それぞれの樹を、さまざまな書体で、自在に表現している。それらの字は、煩瑣な決まりごとにとらわれず、自由そのものである。
彼の書を観ることで、そこに表現された伸びやかで自由な世界に遊ぶことができる。詳細はこちら。
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