千手観音

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千手観音


 朝、薪作り少々。
 午後は引き続き、畑の草むしり。

 長者山から下山後、天こう峯に登った。
 過日の鹿谷城址の近くだが、こちらには四国八十八ヶ所の石仏が建てられている。
 風化が進んでいるが、いずれもよい作品だと思った。

ある日

(A助) ちょっくら頼みがあるんだが。
(高遠の石仏師D蔵) 仏様刻みのことかい。
(A助) うん、観音様のことだ。じつは、観音様の顔を、20年前に亡くなったG右衛門お爺に似せて刻んでもらいてえ。
(D蔵) わけねえことだ。おれが子どものころ、麻を売りに諏訪へ行くとかでよく、うちに寄ってくれたよ。飴などもらって嬉しかったから、よく覚えてらぁ。

数日後

(A助) おい、お婆さん。観音様が彫り上がったっつうから、見てみろ。
(I婆さん) どれどれ。あれまぁ、お爺さん ! うわーん、お爺さんじゃねぇか !
(A助) お爺さんだけじゃねぇよ。
(I婆さん) あやー、こっちの薬師様は、若くして死んだ、向かいのJやんじゃねぇか。おらあ、生娘のころ、好きだったんダニ。
(A助) そうなんか。四国八十八ヶ所の石ぼとけ様は、D蔵さに頼んで、亡くなった村の衆の顔に刻んでもらっただよ。死んだお爺お婆が、流行り病から村のみんなを守ってくれるようにってな。
(I婆さん) うわーん。うわーん。うわーん。

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