脱エネルギー・脱経済成長

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 マスコミは、問題の焦点をずらす工作をしているのではないかと思われるほど、論点が本質的でない方向に動いている。

 九州電力の副社長が、子会社の従業員に原発再稼働を容認するメールを組織的に送らせたといわれる問題だが、その行為の、一体どこが問題なんだろうか。

 「やらせ」はイケナイという意見もあるが、民間会社が自社の事業に関わる民間人に対し、支援を求めることが、法的に禁じられているわけではない。

 民間会社の中には、特定政党や特定候補に投票するように組織的に依頼しているところだってある。
 こちらの方がよほど問題ではないのか。
 労働組合もしかりである。

 今回の九電メール事件の場合、メールを送った人は、自分個人のパソコンか携帯から送ったと思われる。
 もちろん、それに費消したわずかの電気代は、自腹である。

 数年前、自民党安倍シンゾー内閣が教育基本法「改正」を提起した際におこなった「タウンミーティング」では、参加者・発言者の多くが、動員された現役の校長など管理職教員だったとか、彼らに「謝礼」が支払われていたとか、「改正案は「公共の精神」などの視点が重視されていて共感している。改正をきっかけに思いやりのある社会の実現を目指すべきだ」と述べてくれと指示されていたとか、「セリフの棒読みは避けてください」と念押しがされていたとかの問題があったにもかかわらず、たいした問題にはならなかった。
 こちらは、税金を使った「やらせ」だった。
 当時の報道で今残っているのは、数少ない(例えばこれ)が、こちらの「やらせ」の方がはるかに悪質だ。

 「やらせ」がいいか悪いかという問題は、もっとも重要な問題ではない。
 佐賀県・九州北部を放射能まみれにするリスクを抱え込むか否かという問題が、本質的な問題である。

 近畿の7府県が原発事故に備えて琵琶湖の代替水源確保を検討しているという。
 「もんじゅ」が事故を起こしたら、福島の事故の規模ですまないことを、近畿地方の知事たちは誰ひとりとして、知らないのだろうか。

 もし福井県沖で大地震が起き、「もんじゅ」を含む原発が暴走したら、被害は、水源確保とかのレベルではすまない。

 政治家の中には、自民党から共産党まで、「脱原発」を主張する人がいる。
 「脱」というなら、「脱エネルギー」でなければ、いずれ論理破綻する。

 太陽光を電力に変換する装置の生産に、どれだけの電力が必要か。
 風力発電の際に発生する低周波によって身体に異常をきたしてもいいのか。

 「経済成長」や「(経済的)繁栄」を追求する限り、すなわち、エネルギーを大量に必要とする社会が続く限り、破滅は避けられない。

 今は声高に「脱原発」を叫んでいる共産党でさえ、かつては

安全と放射能汚染防止の保障が充分でない現行の現行の原子力発電計画を全面的に再検討し、自主・民主・公開の原子力三原則をまもり、安全で放射能汚染や環境の悪化をもたらさぬ原子力発電計画をつくり、新エネルギーの一環として原子力の研究、開発をすすめる。(民主連合政府綱領提案 1973)

と述べ、原子力開発を推進していた。
 ここでもキーワードは、「エネルギー」だった。

 エネルギーをなるべく使わない社会、経済成長のいらない社会への転換が、必要なのではないだろうか。

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