日本の歴史的建築に使われている材木の特徴について、時代背景とともに説明されているので、わかりやすい。
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古代から中世にかけての「日本」における畑作の意味について、文献史料に基づいて考察した書。
まとまったテーマで書かれたわけでない小文集なので、著者は「竈の灰の燃え残り」と述べられているが、部分部分に考えるヒントが詰まっている。
網野氏が長年取り組んでこられたのは、「日本」とは何かということだったと思われる。
江戸時代に国学が取り組んだのも、そのようなテーマだった。
四つのプレートの境界線上に隆起しつつあるという立地条件の上に成立している日本列島にとって、地震(及び津波)と火山の噴火は避けることのできない運命である。
有史以来列島の民は、これらの天変地異によって手ひどい痛手をこうむってきた。
アイヌ文化の成立は15世紀ごろという。
この文化が分布していたのは、現在の北海道を中心とし、サハリン・千島・東北北部と、かなり広範囲にわたっていた。
境界は、人為的に作られるものだから、なくすこともできる。バリケードがない境界は、存在しないと同じである。
本書でとりあげられているのは、列島各地に存在した「日本」と外部との境界を行き来した人びとである。
サブタイトルに『「関東学」の創造をめざして』とある。
「日本史」という学問分野を否定する書といってよいと思う。
日本列島の生活文化に関する、考古学者と中世史研究者の対話。
この列島の民が、どのように動いてどのように暮らしてきたのかを、ダイナミックに語っている。
中村政則氏が、ご講演のなかで紹介されていた本。
日本列島における農具の変遷をあとづけた書。
農作業において、より便利な農具は欠かせない。
歴史における山村像、ひいては日本列島史の修正を迫る本。
かつて自分自身、山村とされる村落を研究対象としていたので、このところ整理されないまま断片的に考えてきたことが、この本にはみごとに整理されているので、たいへんすっきりした。
1982年に刊行された同名の書の文庫版である。
歴史の記述に、「日本」ということばが特に吟味されることなく使われているが、その実態がいかなるものだったかについて、きちんと検討されていないのではないかという問題提起の書。
戦後史学史に関連する網野氏の論文・発言・書評などを集めた本。
わたしが学生として歴史を学んでいたのは、1975年から1979年にかけてだった。
歴史学の研究素材(史料)の重要な柱が文献であることに、大きな異論はないだろう。
わたしも学生時代に、まことにささやかながら史料調査を手伝わせていただいた経験がある。
追悼文で構成された新書を読んだのは初めてだ。
網野氏の仕事は、それほど衝撃的だったのだと再認識した。
近代とは、中世(近世)より発展した社会であるという暗黙の了解があります。
その了解が、社会を科学として研究する学問体系の前提となっているといってもいいでしょう。