『村上義清と信濃村上氏』

 坂城町で行われた、村上氏フォーラムの記録。
 村上氏は、室町時代から戦国時代にかけて、信州北東部を支配していた武将で、武田信玄と数度にわたって戦い、うち二度勝利したといわれている。

 村上氏と村上義清については、不明な部分が多く、今後も画期的に明らかになることは想定しがたいが、戦国時代の歴史において、存在感の大きい人物であることは間違いない。
穀倉地帯

 千曲川と犀川の合流点近い坂城・上田一帯は、信州北部における要衝だと思える。
 また、周囲をほど高い里山に囲まれた平坦地は、佐久地方同様、なかなかの穀倉地帯である。
 口碑の域を出ない諸説についてはともかく、ここは戦国武将の小天地としては、理想的なところだったろう。

 信玄が執拗にこの地の攻略を図ったのは、地政学的な価値とともに、この地の生産力にも注目したからだろう。

 戦国時代の文書史料が乏しく、本書を通読しても、村上氏の支配地経営の実態は、ほとんどわからない。
 それは残念なのだが、この地に残された山城跡や砦跡などは、数多い。
 これらをめぐって歩くのは、とても興味深い。

(ISBN4-88411-048-X C0012 \1429E 2006,3 信毎書籍出版センター 2011,3,7 読了)

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