「もう頭に来た! オラこれ以上我慢できねぇ」
「落ち着け! 落ち着くんだ! するんじゃねぇ。だめだっつうのに!」
「いいや。オラやっちまう。腹立ったからやっちまう」
「するんじゃねぇ。やめろ!」
というような会話が、封筒の中で交わされています。
封筒の中には、クサギカメムシが数十匹も入っているのです。
晩秋になると、無数のクサギカメムシが屋内に侵入してきます。
戸を開け放っておけばもちろん、出入り口のすべてをきちんと閉めておいても、すき間の多い家ゆえ、カメムシが入る気になれば、どこからでも入れるのです。
カメムシは、こちらが何もしなければ、人間に害を与える虫ではありません。
しかし、うっかり踏みつぶそうものなら、とてつもない悪臭を発して抵抗しますし、ぶんぶん飛んでいるうちに、うっかりみそ汁の中に墜落して、熱さに怒り狂ってガスを発射するのもいます。
そうでなくても、無数のカメムシに囲まれて暮らすのは気分のいいものではありません。
であるがゆえに、うちではカメムシを、ストーブの中に放り込んでしまいます。
残酷だと言われようと、カメムシ処分法の中でそれが一番コストが掛からないのです。
あまりにカメムシが多いので、一匹ずつ焼却するのはまことにめんどくさい。
そこで、不要な封筒にカメムシをプールし、数十匹がまとまったところで、封筒ごと焼却します。
封筒に幽閉されたカメムシが、自分の運命について知る由もないとはいえ、彼らにとって不愉快であることは間違いありますまい。
中には、封筒の中で怒りのガスを放つやつもいます。
こちらのサイトによれば、カメムシの悪臭はカメムシ自身を殺すほどの威力があるそうです。
そこで、冒頭のような会話が交わされているという妄想。
昨日も本日も出勤。
あー疲れた。
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