現場を忘れない

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 国営放送が脳天気な無駄話番組や高校野球などを放送しているので、福島第一原発で連日、行われている決死の作業を国民が忘れやしないかと、心配になる。

 当然のことだが、当事者である東京電力は、事故の収束に向けた作業の最前線にいる。
 事態の安定化を願っている地域の人々も国民も、東京電力が当事者として、責任をもって想定しうるあらゆる手を打つべきだと考えている。
 しかし、原発事故の性質上、やらなければならない作業をこなすことは、すなわち、作業員の方々を放射能に被曝させることなのである。

 ある東電関係者は「作業員たちは『とにかく自分たちで何とかするしかない』という思いを話している」と言うという報道もある。
 会社の上司から、「とりあえず行け。何とかしてこい」と言われたとか、「きちんとした防護服は恐らく早い段階で切らして足りない状態になっていた」(同)とか「『他にやる人間がいないんだから、とにかくやらないといけない。やるまで帰れない』という焦りは現場では強い」(同)という状況らしい。
 これを、戦争時の軍国美談のような話にしてはいけない。

 厚生労働省も仕事に『命がけ』があっていいわけがない。でも、今回、原発を抑え込むことの重要性は、労働政策の域をこえた問題だ。労働者の安全とどちらが優先されるべきか、自信が持てないと言っている。

 自衛隊は、賞恤(しょうじゅつ)金」を通常の1.5倍に引き上げたというが、東電社員は通常労災同様の対処になるようだ。
 金を払えばすむ問題ではないが、事故対応にあたった方々の医療・補償には、万全を期してほしい。

 廃炉が確実になった福島第一原発だが、廃炉に要する時間とコストは30年と1兆円であるという試算が出ている。
 大量の放射性廃棄物の捨て場を見つけるためにかかる費用などは、ここに入っているのかどうか。
 ことによると、この程度では済まないかもしれない。

 東海地震は、明日にも来るかもしれない。
 巨大地震はたぶん来ないだろうという「想定」で運転されている危険な原発(浜岡など)を、どうして止めようとしないのだろうか。

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