暗澹たる現実

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 飯舘村(花塚山野手上山などがある)の放射線値がIAEAの安全基準値を超えているという報道があった。
 これに対する枝野官房長官のコメントは、いつになく歯切れが悪く、「あのう、あのう」と苦しげに語っていたのが、不安をかきたてる。

 疑心暗鬼を生ぜしめない唯一の方法は、隠しごとをせず、データをきちんと明らかにすることである。
 自民党にそれは期待できないが、菅内閣にならできそうな気がする。
 早急にデータと方針を出してほしい。

 それにしても、原発周辺には、1000体の被曝遺体が二次被曝の危険性ありという理由で収容できていないという。
 ここで言われている放射線量は10万cpm以上ということらしい。10万cpmを耳慣れてきたマイクロシーベルトに換算すると、だいたい1時間あたり830から1000マイクロシーベルト程度になる。
 自然状態で被曝する放射線量が世界平均で年間2.4ミリシーベルト(日本はそれより低いという)だから、1時間あたりに換算すると0.00027ミリシーベルトすなわち0.27マイクロシーベルトである。
 正確には計算できないが、発見されたご遺体からは、おおむね自然被曝の3000から4000倍の放射線が出ているということになる。

 これらの町に家族や友人の遺体が残されているとして、彼ないし彼女に手を触れることさえできないという現実が、この列島の、さほど遠くないところで起きているのである。
 南方戦線で亡くなった兵士の遺骨収集は今でも続けられている。それは当然のことであり、国家の責任である。ひるがえって、被曝遺体が、目の前にありながら、手を差し伸べられないままに置かれている不条理は、どう理解すればよいのだろう。

 原発被災地域以外でも、身元確認断念という現実がある。

 そんな中、関西電力社長は28日に、定期検査中の原発3基の運転再開と今後予定している高浜原発4号機(福井県高浜町)でのプルサーマル発電について「粛々とやっていく」と述べ、計画通りに進める考えを示したという。
 中部電力や九州電力がしばらく自重する姿勢を示したのとは、対照的だ。

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