福島第一原発3号機がMOX燃料すなわちウランとプルトニウムの混合燃料を使用していることは、事故発生当時から、一部で話題になっていたが、マスコミはこのことについて、あまり報道してこなかった。
原発の破壊にともなって漏出した物質から検出される放射線量が大きな問題性があるのは事実だが、プルトニウムが漏れ出したとなると、多くの国民が恐れている以上に、容易ならざる事態となる。
三日間、山にこもっていたので、この間どれほどの調査がなされてきたかわからないのだが、枝野官房長官が今日の午後、「プルトニウムが周辺の土壌を汚染しているかどうかの調査を急ぐ」と述べた。
3号機がプルトニウムを燃やしていることは誰でも知っていたことだから、3号機で爆発が起きる前から、このことは危惧されていたはずであり、とっくに調査され始めていたはずだ。
枝野氏は、もしプルトニウムが「検出されれば『対応をしなければならないので、土壌の分析、調査を急がせている』と語った」とのことであるが、これは政府にとって、絶望的に厳しい事態だと言わざるをえない。
電気事業連合会は、プルトニウムから発せられる放射線であるアルファ線は、紙1枚でもさえぎることができ、プルトニウムが体外にある時には皮膚の表面で完全に止まってしまうことから身体的な影響が問題となることはありませんと述べているが、原子炉破壊にともなって放出されるチリなどに付着したプルトニウムが体内に取り込まれ蓄積した場合、人間のほぼ一生にわたってアルファ線の内部被曝が続く。
電事連の説明は、事故が起きても環境へ放出されにくい設計となっていますと述べるにとどまり、上の点には、全く触れていない。
プルトニウムは「かつて人類が遭遇した物質のうちでも最高の毒性」を持ち、「角砂糖5個分で日本が全滅」すると言われる強毒性の物質である。
そのプルトニウムが漏れてる可能性が強いことに、政府は、とっくに気づいているはずだ。
原発燃料に主に用いられていると思われるプルトニウム239の放射線半減期は約2万4000年である。
なお、プルサーマルの「安全性」をコマーシャルで流し続けてきた電事連=東京電力は、「プルトニウムはアルファ線だが、どれぐらいの量があるかを測定する装置を当社は持っていない」と述べた。その上で、プルトニウムが出ている可能性があるということか、との問いに、 「測定していない以上は、絶対ないとは言えない」と答えた とのことだ。
これをわかりやすい日本語に直せば、「こんな事故が起きるとは想定してなかったから、プルトニウムが出たかどうか調べる機器なんかもってません。調べてないから、プルトニウムが出たかどうかはわかりません」ということだろう。
福島第一原発の構造はみんなほぼ同じだろうから、3号機の原子炉建屋上部にも、プルトニウムを含んだ使用済み核燃料がプールに漬けられていたはずだ。
最も派手に爆発したのが3号機だから、映像を見れば、使用済み核燃料は木っ端微塵になったのではないかと思われるが、ちがうのだろうか。
いまだに消防車による放水を続けているということは、政府として、燃料プールが健在だと考えているということだが、その見通しは正しいのだろうか。
この点について、枝野氏はまだ、何も語っていないのではないかと思うがどうだろうか。
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