「学の独立」のことなど

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 早稲田大学法学部の「政治・経済」の入試問題に、「日の丸・君が代」をめぐる教員処分問題が題材としてとりあげられていたことに対し、東京都教育委員会が同学部の受験者数について異例の調査をしているらしい。

 この件に関し、『産経』は、早大入試で偏向的出題というタイトルの記事を配信しており、記事の中で、「最高裁判例では起立しない教員への職務命令は合憲とされており、識者は「偏向的で不適切だ」と指摘している」あるいは「(早大の入試問題は)入学・卒業式での国旗掲揚、国歌斉唱の指導を義務付けた文部科学省の学習指導要領に明確に反する主張を展開した」と述べている。

 最高裁判決がどうあれ、この問題が「日本」社会や教育の現状について考える上で、よい素材であることは間違いない。
 こうした問題について深く考えることによって、受験生がこの「国」について各自なりの考えを持つことができるとすれば、社会科の入試問題として、なかなかよくできているといえる。

 さて、『産経』に登場する「教育評論家」の「入試問題を通した洗脳教育」という口汚い言い草はともかく、東京都教育委員会までが干渉に乗り出そうという構えを見せる中、早稲田大学はどれだけ、「進取の精神」や「学の独立」を発揮できるだろうか。

 早大教授だった津田左右吉は、「日本」古代史に関する研究内容が「不敬」にあたるとして「評論家」や文部省の攻撃を受け、一度は大学を去った。

 津田を守ることのできなかった早稲田大学は、津田事件から、「学の独立」の意味についてどれだけ学んでいるだろうか。
 1932年の滝川事件のとき、京都大学法学部の学生は、全員が退学届けを提出して闘ったという。
 早大の現役学生諸君は、大学の根幹に関わる干渉に直面して、手をこまぬいていてよいのだろうか。

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