心のコントロール

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 北朝鮮の権力者の一人が粛清された理由の中に、金正恩氏が党中央軍事委員会の副委員長に選出された際、彼(張)はしぶしぶ起立し、うわの空で拍手をするという非常に無礼で横柄な態度をとり、軍関係者と国民の激しい怒りを買った(ウォール・ストリート・ジャーナル)と記されている。

 起立し拍手したのがいけないのではない。
 「しぶしぶ」起立し、「うわの空で」拍手したから、それは、死刑理由の一つに値するという文脈だ。

 ここは、絶対王政の時代を現在に残す、まれな国家であるから、裁判など、まともに行われないのは、当然なのだろう。
 それはともかく、ここ「日本」でも、天皇を称える歌を「誠意」をもって歌っているかどうかが、チェックされている。

 「産経」によれば、大阪府では、「斉唱行為の一部だけを取り上げ形式的に判断するのではなく、総合的に現認し、公務の信頼性を維持するのに十分な誠意ある態度を取っているかで判断」せよという通知が出されている。
 起立して歌ってるフリをするだけでは誠意ある態度とはいえないから、「総合的に現認」することによって、その者たちの心のなかをよく観察せよ、といっているのである。
 誠意を持って歌ってなくても、「日本」ではさすがにイキナリ殺されることはないが、職は奪われる。
 「犬にも劣る人間のクズ」と言われる代わりに「非国民」呼ばわりされる。

 人の心を強制・脅迫によってコントロールしようとするという意味で、アチラの国が行っていることとコチラで行われていることに、相違があるわけではない。
 市民的自由が確立していない社会は、野蛮な社会と言わざるをえない。

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