アメリカにおけるハリケーンの被害は、想像を絶する規模に拡大している。
このことについては、いろいろな面で不可解な事実が多い。
まず、被害の規模が当局によって把握できていないということ。
神戸の震災のときには、火災が静まるまである程度の時間がかかったが、犠牲者の氏名などは続々と報道されていた。
ここから、アメリカでは、当局が住民の実態をまともに把握していないのではないかという疑問が生じる。
次に、ハリケーン常襲地帯であるにもかかわらず、どうしてあのように多くの人が河道より低い土地で暮らしていたのかという疑問。
ハリケーン関連のフォトニュースを見ると、被害者のほとんどはアフリカ系アメリカ人のようだ。
問題の本質は、ここらへんにありそうだ。
市場経済の極地と化したアメリカには少数の「勝ち組」(成功者)もいるが、人口の圧倒的多数は「負け組」である。
こうなるのは、市場経済の必然である。
貧富の差の激しい社会では、自然災害は貧しい人々に相対的に多くの犠牲を強要する。
それは、貧しい人々が相対的に多数であるだけでなく、そのような人びとは、自然災害を被りやすい悪条件の街へと社会的に追いやられているからである。
市場経済にあって、自然災害は、本質的に社会的災害としての一面も持っていることを肝に銘じておく必要がある。
アメリカ南部とは、これほどまでに、社会的マイノリティに酷薄な社会なのである。
ホワイトハウスは100億ドルの追加予算を要求し、ペンタゴンも5億ドルの追加予算を計上するらしい。
この莫大な予算がどのように使われるのか、注意深く見守りたい。
これが「勝ち組」の復興利権と化していくようなら、アメリカ社会は崩壊してしまうのではないかと思う。
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