靖国

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 東京都の石原知事が、敗戦記念日に靖国神社に参拝した。(asahi com)

 靖国神社は、天皇のために亡くなった人を神として祀る、特殊な宗教施設である。
 国のためになくなった人を祀ってるんだと言う反論があるやも知れないが、そうではない。
 ここでは、過去の戦争(内乱を含む)において、沖縄戦で日本人を虐殺した人々や、A級戦犯のようにアジアと日本を破滅に追い込んだ張本人も、「神」として祀られている。

 上記のような極悪人でない一般兵士とて、客観的に見れば対外侵略の先兵であった事実は動かせない。
 帝国軍隊は、アジア各国を侵略し、2000万人に及ぶアジア諸国民の人命と財産を奪い、耐え難い苦痛を与えた。
 そのような意味で靖国は、戦争犯罪の象徴なのである。

 靖国に参拝することは、この戦争の計画者及び直接実行犯に頭を垂れるということであり、戦争犯罪を肯定することである。

 日本の現在の法律では、靖国参拝を犯罪として禁じることはできないから、参拝するしないは各個人の自由ということになる。
 しかし、国民の代表が靖国に参拝するとなると、問題の性質が異なってくる。

 知事は都民の代表である。
 石原氏が「東京都知事」と記帳したかどうかは明らかではないが、もしそう書いたとすれば、東京都民を代表して戦争犯罪を肯定したことになる。

 小泉首相が靖国で「内閣総理大臣」と記帳しているのは周知の事実だが、彼の行為は、日本国民の代表として戦争犯罪肯定を、世界とアジアに誇示することである。

 日本の侵略によってもっとも甚大な被害を被った韓国・北朝鮮・中国の人々が、首相らの靖国参拝に反発するのは、当然である。

 ところで、石原知事は、「天皇が靖国神社に参拝いただければ、天皇にしか果たせない国家に対する大きな責任を果たしていただくことになる」と述べたらしい。

 天皇が国にたいして果たすべき行為は、憲法に定められた国事行為に限られており、それを越えて国政に関わることは禁じられている。
 石原氏の中では、憲法などすでに存在しないのかも知れない。

 憲法の規定を承知の上で、あえてそれを無視した発言を繰り返す人を知事に選んだ、東京都民のレベルが知れる。

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