近現代史

吉川金次『のこぎり一代』(上下)

 『鋸』の著者の自伝。

長田衛『評伝マルコムX』

 アメリカが版図の肥大化を進めていく過程で、殺戮・追放されたのはアメリカ先住民だった。
 一方、産業化の過程で労働力の役割を果たしたのは、奴隷として強制連行されたアフリカ人だった。

 イギリス系アメリカ人がネイティブ系アメリカ人をどのようにして殲滅して「アメリカ合衆国」を作ってきたかを略述した書。

礫川全次『アウトローの近代史』

 著者は、公権力の法的支配の範囲外に位置する組織(勢力)をアウトローと呼ぶ。
 そうした存在が歴史的系譜を持つものとは思えないが、著者は、汎歴史的に存在したアウトローが歴史的に一定の役割を果たしてきたと評価し、近代史上におけるアウトローをあとづけている。

 『私は貝になりたい』の著者である加藤哲太郎が所長を務めていた新潟俘虜収容所で俘虜として体験したことを証言した書。

加藤哲太郎『私は貝になりたい』

 BC級戦犯裁判は、裁判自体の正当性の面でも杜撰さの点からも、歴史的に未解決の問題として残されている。

鎌田慧『大杉栄 自由への疾走』

 国家がテロルの装置であることは、とっくの昔にレーニンが暴いて見せたとおりだ。

 レーニンや、この本の主人公である大杉栄が生きていた20世紀には、警察と軍隊が主要な暴力装置だった。
 20世紀後半になっても、基本的にその構図は変わらなかったと思われる。

鎌田慧『椎の若葉に光あれ』

 サブタイトルに『葛西善蔵の生涯』とあるが、善蔵の生涯を丹念に掘り起こすというスタイルではなく、作品に即して葛西善蔵の生き方と時代を描いた評伝である。

阿部善雄『最後の「日本人」』

 1983年に刊行された同名の書の文庫版。
 明治から昭和戦前期にかけて活躍した、在米の日本法制史・制度史家だった朝河貫一の史伝である。

鹿野政直『岩波新書の歴史』

 1938年に創刊されて以来、読書家に対し、岩波新書がどのようなメッセージを発信し続けてきたかを分析した本。

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