近現代史

 テレビ受像機を所有しておらず、映像マスコミに関心がないので、『坂の上の雲』がどうして話題になっているのか、本を読むまで理解できていなかったのだが、この作品がNHKにより力を入れて映像化されているのが、ブームの原因だとわかった。

不破哲三『北京の五日間』

 中国の歴史にとって毛沢東が、混乱・混迷をもたらした疫病神だったことは疑いない。
 この党の独裁者が毛沢東だった故に、中国共産党が権力を握ったことが中国民衆にとって幸福だったかどうかも、保留せざるを得ない。

野添憲治『花岡事件と中国人』

 花岡事件当時の中国人側のリーダーだった耿諄からの聞き書き。
 『花岡事件』とちがって、こちらは事件から50年近くたってからの回想だが、かなり細部までよく覚えておられる。

小林峻一・加藤昭『闇の男』

 日本共産党のかつての指導者で、コミンテルンの幹部でもあった野坂参三の正体を追求した書。

劉智渠『花岡事件』

 1945年に白神山麓・花岡鉱山で起きた、中国人捕虜の蜂起が花岡事件である。
 本書は、蜂起の当事者でもあった著者の口述をまとめたもので、1951年に刊行された初版の新装版である。

 「太平洋戦争」末期の1944年、グァム攻防戦のさなかにアメリカ軍に投降した兵士(階級は兵長)の戦記。
 戦争の現実は、類書をいくら読んでも、鬱になる。

岡義武『山県有朋』

 明治の「元勲」であり大正末期まで「元老」として日本の政治を牛耳り続けた山県の伝記。
 コンパクトだが、的確でわかりやすい記述で、読み応えがあった。

不破哲三『マルクスは生きている』

 カール=マルクスの思想が今なお有効であると主張している書。

宮本常一『ふるさとの生活』

 ここに記されている高度経済成長以前の日本列島の生活は、基本的に江戸時代後半以来の生活を継承していたと思われる。
 本書は子ども向けに書かれているようだが、列島における行事や暮らし方の由来や意味について、わかりやすく解説している。

佐野眞一『旅する巨人』

 宮本常一の自伝である『民俗学の旅』もたいへん迫力のある本だったが、宮本と渋沢敬三の評伝である本書もまた、自伝を理解する上での必読書である。

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