社会と政治

松下竜一『ルイズ−父に貰いし名は』

 大杉栄・伊藤野枝の四女ルイズ氏の評伝。

 20世紀初頭における無政府主義の両巨頭は、ルイズ氏の生後間もなく日本軍隊によってなんら故なく虐殺された。

住井すゑ『わが生涯』

 『橋のない川』は空前絶後の人間讃歌である。
 その著者が娘に語った回想録。

斎藤貴男『空疎な小皇帝』

 (障害者に対し)「あの人たちに人格があるのかね」
 (同じく)「自分自身のアイデンティティを持たない人の命も尊重する日本人独特の感性」
 「女性が生殖能力を失っても生きてるってのは無駄で罪です」

大平健『豊かさの精神病理』

 モノを語る人々の群像を、精神科の医師が分析しています。

 ここで言う「モノ」とは、ブランド品であったり、グルメであったり、ペットであったり、恋人であったりしますが、総じて彼らは、そのモノを身にまとうことによって自分の価値が大きくなると考えています。

 宗教学者とお笑い芸人による対談。
 話題は縦横に飛び回っていますが、憲法第9条は世界遺産に匹敵する価値を持つと主張しています。

 原発という技術・産業に内包される構造的な問題点を指摘した書。

 原発技術・産業と他の技術・産業との相違は、裾野が存在しないという点のようです。
 それはおそらく他の国にとっても同様なのでしょう。
 国策として、上からの技術開発が進められることによって、技術と産業にどのような歪みを生じたか。

 いい本ですが、タイトルが長すぎ。
 財界人の戦争体験記かと思いきや、そういう記述もありますが、メインは日本経済のあるべき姿についての問題提起です。

 天皇家の世襲制度をどうするかをめぐって一時期騒がれましたが、秋篠宮の夫人が妊娠したという発表があったとたんに、議論が消滅してしまいました。

斎藤貴男『バブルの復讐』

 サブタイトルに「精神の瓦礫」とあります。
 この10数年間に進行した日本人の精神的崩壊を描いたルポ。

斎藤貴男『安心のファシズム』

 ファシズムは、個人の存在を許さない社会状況ですが、そうした状況は権力やデマゴーグによって作られるのではなく、市民によって形成されます。

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