エンターテイメント

菅原千恵子『宮沢賢治の青春』

 宮沢賢治の「ただ一人の友」だったとされる保阪嘉内との関係を、賢治の嘉内宛手紙と彼の作品から、鮮やかに描いた書。

 最終章である「第八章 『銀河鉄道の夜』は誰のために書かれたのか」を読むと、胸がいっぱいになる。

三好京三『陸奥黄金街道』

 「金売り吉次」を描いた歴史小説。

 小説だから、荒唐無稽と思われる部分も多々あるが、平泉政権と陸海を結ぶ商人ネットワークとの関係が描かれている。

大城立裕『小説琉球処分(上下)』

 文化が不変でないのだから、民族というカテゴリーも不変でないだろう。

 明治初年の琉球の人々と「日本」人とが同じく「日本」民族に属するといっても、いわば別民族としての道を歩み始めつつある状態だっただろう。

吉村昭『戦艦武蔵』

 戦艦武蔵の建艦から沈没までを描いた小説。

 小説とはいえ、武蔵の建造日誌に取材しているので、着工から進水までの描写は圧巻である。

井上ひさし『新釈遠野物語』

 新釈とあるが、遠野物語のパロディではなく、岩手県釜石周辺における、創作奇譚集である。

 正体不明の老人が、青年に奇想天外な物語を、あたかも事実であるかのように語ってみせるのだが、最後は、その老人が化けた狐だったという井上作品らしいオチがついている。

斎藤成雄『秩父に革命の嵐吹く 』

 秩父事件の顛末を描いた小説。

城山三郎『指揮官たちの特攻』

 特攻作戦の最初と最後を担った二人の同期生パイロットへの鎮魂歌的作品。

三浦しをん『神去なあなあ日常』

 横浜の高校を卒業した青年が、三重県の林業会社に就職させられ、山仕事と地域の現実を理解していくという小説。

 よくよく考えれば非現実的な部分もあるのだが、山村の現実をよく取材した上で書かれているので、リアリティがある。

黒野伸一『限界集落株式会社』

> 自分が現在暮らしているのは、たぶん「限界集落」だと思う。

 ちゃんと住んでいる戸数も人口も、減っている。

 今後、賑やかになる気配は、ない。

奥田美穂『絵の記録』

 「教員赤化事件」で教壇を追われたのち、東京で社会教育に関する仕事をされたという著者の小説集。

 折り目正しく誠実に自己を見つめた、小説らしい小説で、たいへん読み応えがあった。

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