享徳の乱から関ヶ原まで、約150年間の関東の戦乱史。
全体をコンパクトに叙述することに力点がおかれており、かくも長期に渡った戦乱とは何だったのかは、読者の判断に任される。
鎌倉時代は、王朝時代以来の職の体系が生きており、幕府権力によって承認される権限もまた、一つの職だった。
複雑な職どうしのぶつかり合いによって生じるトラブルを調整することが、幕府の重要な役割であった。
鎌倉公方権力は、発足当初から幕府との亀裂・管領上杉家との亀裂を抱えていたから、室町時代の関東には、そのような調整機能を持つ権力が存在できず、在地領主は地方の小権力者との政治的関係によって所領を確保するしかなかったのだろう。
かくて150年間の関東において、戦闘の実働部隊である在地領主たちは、臨機応変に仕える対象を変えて権力の帰趨を左右した。
彼らの活躍は、武将たちの感状等にしか記録されていないが、戦国動乱の本質はここにあったはずだ。