宇沢弘文『地球温暖化を考える』

 この本は、著者によれば小学生にもわかるように書いたとのことですが、十分むずかしかったです。(^_^;)

 地球の温暖化は、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスによって起きます。
 二酸化炭素の大量排出は、産業革命とともに始まり、現在の化石燃料・電気大量消費社会の到来によって、いっきに加速されたものです。

 生命活動の中で二酸化炭素を減らす役割を果たしている森林、中でも熱帯雨林は、日本をはじめとする「先進」国の大量消費や、発展途上国の開発によって、破滅の危機に瀕しています。

 著者は、この現状をわかりやすく分析した上で、問題解決の方向性のひとつとしての「炭素税」の考え方について、説明しています。炭素排出量に応じて一定額の負担を求めるというこの考え方に対しては、発展途上国からは不公正だと受けとめられています。一方、不利を承知で独自に炭素税を課税しているスウェーデンのような国もあります。

 日本が炭素税を負担するとすれば、莫大な額になるとは思いますが、途上国とくらべれば、相対的には重いとはいえないでしょう。ほんとうは、日本のような国こそ、スウェーデンに続くべきなのだと思います。

 もっとも、今の日本の政治家を見てると、もう何言ってもムダだし、相手をするだけ時間がもったいないという気さえします。
 国の政治を変えるより、一人ひとりが、二酸化炭素の排出を減らすことを考えた方が早いですね。
 それでは、アンタはどうするんだ、といわれそうですが、「まだ考え中です」としか答えられないのが、悲しいです。

(ISBN4-00-430403-2 C0236 P620E 1995,8刊 岩波新書 1997,1,27読了)