果実酒作りの基本

 素材のそれぞれ、あるいは飲み手の好みによって手加減する必要がありますが、果実酒を漬ける基本について記しておきます。

 まず、アルコール分が薄いのはダメです。

 そのために、素材は水をよく切ること。
 洗ってすぐに漬け込むとアルコール分が薄まります。

 ホワイトリカー(好みによってウィスキーなどでも)は、35度のを使うこと。
 25度では薄すぎます。

 アルコールの浸透圧を利用するのですから薄いのを使うとエキス分の浸出も少なくなるという理屈です。

 ホワイトリカーの分量に対して素材が多すぎるのもダメです。
 生ものの場合、酒が薄まると酸化(腐敗)しやすくなります。
 ホワイトリカーに対して、素材は多くても1/2、できれば1/3程度にした方がよいでしょう。

 次に、素材引き上げのタイミング。
 これは素材によってさまざまです。

 生もの(花びらなど)の場合は一週間程度。
 それ以上放置すると酸化します。
 梅やカリンなどは漬けっぱなしでも大丈夫です。

 素材を引き上げる際には、ゴミが残らないよう、コーヒーフィルターで濾します。

 砂糖は、好みによります。
 わたしは原則として漬け込み時に砂糖は使いません。
 甘いのが好きな人には、飲むときに入れてもらいます。
 みんなが甘くてよいのなら、初めから砂糖を入れた方が風味がよくなるでしょう。

 おいしく飲めるようになるのは約半年後くらい。

 必ずしも長期保存した方がおいしいとは限りません。
 わたしは長くても2年以内くらいに飲みきってしまいます。

 果実酒は味だけでなく、色も楽しめます。
 コケモモなど、紅いきれいな酒も、年月がたつと琥珀色に変色してしまいます。
 それでいいならけっこうですが、わたしは鮮やかな紅い酒をなめる方が幸福と感じます。