クロモジといえば、低山の林床にぽつぽつと生えるクスノキ科の落葉灌木です。
私はほとんど冬しか山歩きをしないので、葉を落とした状態のクロモジを見ることの方が多いようです。
葉を落としたクロモジの枝は緑色をしているので、すぐにわかります。
低山の林床で緑色の枝をもつ灌木といえば、クロモジかノイバラですが、ヤブコギの大敵ノイバラとちがってクロモジにはトゲがありません。
クロモジのいいところは、枝にすてきな芳香があるところです。
ヤブ山をさすらっているとき、クロモジを見つけると、小枝を折って口に入れ、歯でかみしだきます。
すると、山の香りが口いっぱいに広がってなんともいえずいい気持ちになります。
この芳香から、クロモジで作った爪楊枝は爪楊枝の最高級品だと思われます。
クロモジのもうひとつの用途はビパークの際の焚き火のたきつけです。
東北では、クロモジ(オオバクロモジ)をトリコシバと呼んで、生でも燃えるたきつけとして利用しているようです。
私の好きな奥秩父の沢にはクロモジが多くないし、枯れ枝が比較的たくさんあるので、私は生のクロモジを使ったことはありません。
さて、このクロモジですが、秋になり、奥武蔵や西上州の山でウラベニホテイシメジが発生するころになると、はじめは茶色、やがて黒く変化する実をつけます。
この実をリキュールにするとどうなるかというのが、今回の私の報告です。
採取年は1993年秋、外秩父・蓑山産のクロモジ酒です。
ウラベニホテイシメジを探しに行ったのですが、ちっとも出てなかったので、クロモジの実をとって帰って漬けてみたのでした。
結果からいうと、とてもまずい!
色はヨードチンキ色で、なんか薬のような色。
味はヨーチンとアルコールを混ぜたような味。(うそ、私はヨーチン飲んだことありません(^^;)。
清水大典『果実酒・薬酒』(家の光協会)によれば、クロモジの小枝のリキュールはすぐれているらしいのですが、クロモジの実の酒はだめでした。(;_;)
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