クロマメノキ酒
クロマメノキ

浅間山周辺にて
クロマメノキ酒

たいへん美しい

 1992年のクロマメノキ酒をあけた。クロマメノキは別名アサマブドウともいう。
 浅間山及びその外輪山に多く自生するからそのような名前がついたものだろう。

 この酒は漬けこみ一年以内に飲むことを勧める。
 理由は以前書いたように、漬けこんでしばらくは赤むらさきの色がすばらしいのだが、一年以上たつと退色して褐色になってしまうからだ。

 果実酒は一般に、古くなった方がまろやかな味となるのだが、クロマメノキに関していえば、若い酒の方がめりはりがあってよいような気がする。

 このクロマメノキは、浅間山の外輪山として人気の高い黒斑山のものだ。
 黒斑山は何度も登ったが、木の実だけでなく、シラビソのヤブの中にカノシタというおもしろいキノコがよく出ているので、それも楽しめる。

 1992年はキノコの不作の年だったが、ここのカノシタはちゃんと出ていてくれた。

 クロマメノキがなるころ、車坂峠周辺では、マツムシソウやオヤマリンドウ、イワインチンなどが咲く。
 イワインチンはめだたない花だが、よく見ると実に繊細で、私の好きな花だ。

 クロマメノキを漬けこんだ翌年の二月ころ、私は実を引き上げて砂糖を加えて煮込み、クロマメノキジャムをつくる。

 この実には種がないから、ジャム作りは簡単だ。
 これをヨーグルトにのせて食べるとまたすてきなのだが、どうしてもアルコールっ気が完全には抜けないので、子どもには食べさせられない。
 お子さんのいる向きには、摘んできた実をはじめから果実酒用とジャム用に分けた方がよい。

 まもなくクロマメノキが熟す季節がおとずれる。
 今年は盛夏の岩手山で早くも熟しているのを見た。

 火山性の高山に群生する傾向がある木なのだが、今年もどこかに出かけてみたい。