ニセアカシア酒

 この春に漬け込んだニセアカシア酒をあけてみた。

 秩父市内を流れる荒川の河畔には、ニセアカシアがすこぶる多い。
 5月ごろには、河畔を白く染めるほど、びっしりと花を咲かせる。

 このころ、蜂箱を河原に置けば、とびきり上等のアカシア蜜がとれるだろう。
 蜂蜜のなかで、もっとも上品でさわやかなのは、このアカシア蜜なのだ。
 いつかやってみたいと思っている。

 今はこの花をいくつか摘んできて、酒に漬けてみるだけ。

 花の酒の基本は、漬け込み後のすばやい引き上げだ。
 アカシア酒も同じ処理をする。

 リキュールグラスについでみると、ほとんど無色透明だが、ごくわずか黄色がかっているのがわかる。
 フジ花酒やクズ花酒と同様、甘い花の香りが十分にとけ込んでいるので、香りはかなり強く、口に含むと、残香がしばらく鼻に残る。

 3ヶ月たったので、あけてみたわけだが、まだ熟成が足りないとみえ、アルコールがこなれていない。
 難点はここだけ。
 できれば、半年ほどおいた方がいいのだろう。

 それでも、一口なめると、強烈な香りのおかげで気分が変わる。
 さすがアカシアだと思った。