リンゴ酒

 リンゴ酒といっても、買ってきたリンゴを漬けたのではない。
 材料は、庭に自生したリンゴの実だ。

 以前、生ゴミは庭に穴を掘って埋めていた。
 ゴミ穴からリンゴが数本とナシが一本生えた。
 伐らずに放置していたら、リンゴに花が咲き、えらくちっちゃな実がついた。

 最近のリンゴは、リンゴ・クリームという感じの味がするが、このリンゴはむかし懐かしい、ほんとのリンゴの味だった。

 このリンゴ酒は、材料を引き上げたのち、約半年寝かせたもの。
 リンゴのエキスがよく出ていて、さわやかな味。しかし、わずかなのだが、不快な苦味が感じられる。アルコールとの相性はさほどよくないのかも知れない。

 食前酒としては、文句がないだろう。
 でも、自生リンゴとはいえ、リンゴは生で食べるものと悟ったのだった。