キンミズヒキ酒

 秋の山に出かけると、登山口周辺で、ヌスビトハギやアメリカセンダングサなどの種子が服に付着して、閉口することがよくある。

 キンミズヒキの種子も同じ。

 キンミズヒキは、タデ科のミズヒキとはちがって、バラ科の草で、秋になると、なかなかかわいい黄色の小花を穂状に咲かせる。

 キンミズヒキは、踏まれても抜かれてもめげずにに勢力範囲を広げ、あっという間にはびこっていく。

 この草を酒に漬けてみた。

 青いままの草を漬けるわけにはいかないから、まずは乾燥させる。

 急速乾燥の術を紹介しよう。閉め切った自動車の中に一日ぶら下げる。それだけである。

 草はすぐに引き上げ、その後五ヶ月ほど熟成させてできた酒は、黄金色。
 まるで錬金術ですね。

 少し寝かせがたりないが、適度な苦味と、ほのかな甘みが溶けだしていた。
 イカリソウ酒よりずっとやさしい酒だ。
 仕上がりはなかなかのものだ。

 薬酒としての効用もあるらしいから、来年は、もう少し作ってみよう。