チョウセンゴミシ酒

チョウセンゴミシ

南佐久にて
チョウセンゴミシ酒

花はカメバヒキオコシ

 チョウセンゴミシ酒。
 自然の木の実の酒で、ウメやカリンをはるかにしのぐ美酒は、これをおいてほかにない。

 チョウセンゴミシは、関東以北ではあまり見ることがない。
 私が見るとすれば、浅間山周辺の中級山岳か、佐久の山。
 禁漁直前に、千曲川を釣られる向きは、ヤブにからまったツルに、赤い実がなっていたら、チェックした方がよい。

 いま飲んでいるのは、相木川水源の、とある路端で摘んだ5年もの。

 ゴミシの酒ははじめは赤いがすぐに、琥珀色に変色する。
 味がよいから、ゴミシの場合、私は色には拘泥しないことにしている。

 苦味と酸味が絶妙のバランスをきわだたせ、鼻に抜けるふしぎな薬臭が、快感だ。
 この薬臭は、ひね酒になるほど強くなるようなので、どこで見切るかは、人による。

 木の実そのものは、まずくて食えたものではないのに、酒にすると芳醇そのものの旨酒に結晶するというのが、果実酒の魅力だ。

 ゴミシの酒を飲むと、千曲川を思い出し、遠景の八ヶ岳を思い出す。