労働

笹山尚人『人が壊れてゆく職場』

 労働問題を手がける弁護士による、労働問題事件簿。

 2008年7月に出た(従って執筆はそれよりずっと以前である)本だが、同年12月末現在、急激な経済の悪化に伴って、「雇い止め」や「派遣切り」などワーキングプアに属する人々が深刻な危機に直面しつつある。

湯浅誠『反貧困』

 日本人の自己認識が、総中流といわれる状況になったのは、1980年代だった。
 頑張れば、あるいは努力すれば、貧困とは無縁の暮らしができると思われたからだろう。

門倉貴史他『貧困大国ニッポン』

 『ルポ貧困大国アメリカ』を読んだばかりだが、貧困の悲惨さでは日本も負けていない。

雨宮処凛『プレカリアート』

 プレカリアートとは、非正規雇用・派遣労働などに従事する人々及び失業者など、不安定な就業状態にある人々を意味する。

NHK取材班『ワーキングプア』

 本人の努力不足とか、偶然の不幸などという原因がないにもかかわらず、憲法第25条に規定する生存権が保障されない現実が深刻化しつつある。
 1年前に同名の書を読んだが、首相が替わっても状況は変わっていない。

阿部真大『働きすぎる若者たち』

 前半は現在の介護労働について、後半は団塊ジュニア世代についての分析。
 社会学的な分析に慣れていないので、分析自体にどういう意味があるのかわからない面もある。

阿部真大『搾取される若者たち』

 労働が流動化させられ始めてから10年ほどになる。
 コスト主義は、合理性という美名のもとで、あたかも自明の真理のような顔をするに至った。

宇江敏勝『若葉は萌えて』

 サブタイトルに「山林労働者の日記」とある。
 紀州・熊野の山林労働者だった著者の労働日記。

鎌田慧『ドキュメント屠場』

 食肉産業の現場ルポ。
 本書を含め著者のルポは、現代の民俗リポートという印象がある。
 もちろん、現実に存在する矛盾の告発という要素は多分に含まれているが、現代の生活者の生きようを淡々と描く作風は、暮らしの記録としてとても貴重だと思う。

門倉貴史『ワーキングプア』

 日本がどのような社会に向かって進みつつあるかを鮮やかに描いた書。
 総中流社会などというのは全くの幻想だったのだが、ある意味でそれは、めざすべき理想社会だったのかもしれない。

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