宗教と民俗

 民俗学や歴史学で、サンカを正面から取り上げた研究をあまり見ない。

 自分自身、サンカと呼ばれる人々が存在したらしいことを知ってはいたが、書店に並んでいる関連書籍をパラパラ見ても、どれだけ確実な研究なのか怪しい印象があって、読んでみようという気にならないでいた。

中山高嶺『三峯、いのちの聖地』

 三峯神社の宮司さんが書いたエッセイ。

 神社本庁の役員などもされている方なので、本文の中には、「神ながらの道」とか、ちょっと近寄りがたい言辞も並んでいる。

斎藤たま『わらの民俗誌』

 わらの民俗に関する聞き書き。

銭谷武平『役行者ものがたり』

 子ども向けに書かれたと思われる、役の行者伝。

銭谷武平『役行者伝の謎』

 数多ある役の行者の伝記・伝説類を博捜し、役の行者の実像に迫ろうとした書。

 とはいえ、行者伝の中で信頼に足りそうなのは、『続日本紀』にある、彼が伊豆に流刑となったという記事だけである。

小澤浩『民衆宗教と国家神道』

 幕末期に、はかりしれないポテンシャルを持つ、いくつかの宗教が誕生した。

 如来教・黒住教・金光教・天理教・大本教・丸山教などである。

 ポテンシャルとは、人間のあるべき姿を追求し、社会のあるべき姿を真正面から追求するパワーを意味する。

飯沢匡『乞食円空』



 円空が無学で無思想な凡僧だったと主張する本。

 ほとんどすべての行に、著者の思い込み・無知・無理解が溢れかえっていて、じつに辟易する。

 当然だが、読むことをお勧めしない。

梅原猛『歓喜する円空』

 円空の生涯を、作品・史料に即して描いた評伝。

 円空が「まつばり子」(私子)で、幼い時に母を亡くしたという口碑を事実とする前提で、それをキーとして円空の生涯を解いている。

 さらりと書かれた日本民俗学史。

 別の読書ノートにも書いたが、学生時代に、民俗学の講座を受講しなかったのは全くの失策だったと思う。

久保田展弘『役行者と修験道』

 修験道の歴史についてのかなり詳しい解釈書。
 わかりやすい本だが、修験道を教義と捉える見方への疑問が強くなっているので、随所に違和感を感じながら読んだ。

前の10件 1  2  3  4  5  6