民俗学的分析を通して、山村の主として精神世界が戦後に、どのように変貌してきたかを描いた書。
宗教と民俗
岩手県北上山地の安家地区における、江戸時代後半から現代に至るまでの、産業構造を明らかにした書。
対象地区は『むらの生活誌』に近接する。
前半はキリスト教の禁教の経緯、後半は民衆と寺社の関わりについての具体例を示した書だが、前半部分と後半部分とがどのような論理的脈絡でつながっているのか、よくわからなかった。
大峰山脈は、修験道の聖地である。
修験道の理論はおおむね、密教に依存しており、密教の諸仏が修験の神々である。
民俗学の視点から日本列島の多様性について論じた書。
列島のある時期に、焼畑農耕文化と稲作農耕文化が接触し、結果的に国家を形成したのは稲作民だったが、非稲作民の精神構造まで征服できたわけではなかったと説く。
神道とはどのような信仰かについての概説書。
新釈とあるが、遠野物語のパロディではなく、岩手県釜石周辺における、創作奇譚集である。
正体不明の老人が、青年に奇想天外な物語を、あたかも事実であるかのように語ってみせるのだが、最後は、その老人が化けた狐だったという井上作品らしいオチがついている。
民俗学は、どのような生活や行事がかつて存在したかを記録する学問かと思っていた。
力点はいかに詳細に記録するかにあるという印象があり、学としては、記録された内容の意味をほとんど問わないのかと思っていた。
そんな見方は偏見であり、そういう浅はかな考えを持ったことは失策だったと思っている。
深田久弥の「日本百名山」には、今となっては名山の名に恥じる山も含まれているが、両神山は、文句なしの名山である。
小鹿野町と両神村が合併したとき、町の名を「両神町」にしなかったのは迂闊だったと思う。
秋山郷の木鉢製作だけでなく、秋山郷の暮らし全般についても記されているので、興味深い。