中世史

上里隆史『海の王国・琉球』

 古琉球という国家のアウトラインを素描した書。

 国家や民族の概念の修正さえ、迫ってくる。

三好京三『陸奥黄金街道』

 「金売り吉次」を描いた歴史小説。

 小説だから、荒唐無稽と思われる部分も多々あるが、平泉政権と陸海を結ぶ商人ネットワークとの関係が描かれている。

阿部謹也『逆光の中の中世』

 社会の発展法則なるものが、マルクスらの言うような形で存在するかどうかは疑わしいが、古代・中世と呼ばれる社会が、文明国家に共通して存在するのは、間違いなさそうだ。

桜井英治『破産者たちの中世』

 中世は、徳政令が出された時代だから、借金に苦しむ民衆を描いた本かと思ったが、土倉など室町時代の金融業者の実態を解説した本だった。

高橋典幸『源頼朝』

 源頼朝は東国武士政権の創始者だが、歴史の授業では、頼朝の権力基盤について、きちんと説明されているとは言いがたい。

 伊豆で挙兵した頼朝の麾下へ東国武士たちがはせ参じたという言い方だと、東国武士政権が畿内政権から自立するに至る歴史の流れをつかむことができない。

五味文彦『日本の中世を歩く』

 ずっと以前には、在地の史料が少ない中世は、今ひとつ掴みどころのない時代という偏見を持っていた。

 歴史のバックボーンは社会構成史だと思っていた時代には、中世史を学ぶ意義についてさえ、疑問を持ったことがあった。

 しかし実のところ、中世は、人々が生き生きと生活していた、じつに魅力ある時代である。

佐伯弘次『対馬と海峡の中世史』

 「どこからどこまでがウチの国のものなのに、勝手に立ち入るとはケシカラン」

 「それに対し憤懣に耐えぬようなものは『日本』人の資格はないから出てけ」

というような笑うべき言説が横行している。

藤原良章『中世のみちと都市』

 中世の道と橋に関する概論。

 とくに、橋について詳しい。

福島金治『北条時宗と安達泰盛』

 東国武士政権=鎌倉幕府は、源頼朝死後ずっと、内紛続きだった。

 前代未聞のモンゴル侵入に見舞われた執権北条時宗の時代も、同様だった。

高橋慎一朗『武家の古都、鎌倉』

 『中世都市鎌倉を歩く』の類書だが、切り口が同じでないので、こちらも一読の価値はあった。

前の10件 1  2  3  4  5  6