近藤成一『鎌倉幕府と朝廷』

 鎌倉時代の政治史。

 コンパクトな本だが、幕府と朝廷の権力関係や血縁関係について詳細に記している。

 「日本」史上初の武士政権だった鎌倉幕府成立には必然性があった。
 鎌倉幕府が崩壊したのは、その必然性を失ったからだと考えられる。
 通史としては、その点を明確に描く必要があろうかと思う。

 得宗専制への不満や元寇への恩賞問題をきっかけとして、鎌倉幕府の在地支配の制度的な弱さが増幅され、内乱に陥ったのではないかと思うのだが、その点についてはあまり積極的にふれられてはいない。

 摂関家や得宗家の詳細な系図が載せられているのは、それなりに役に立った。

(ISBN978-4-00-431580-3 C0221 \820E 2016,3 岩波新書 2018,9,1 読了)