市川和雄『へなちょこカミキリロード』

 カミキリムシ採集家の採集記とガイド。

 山で捕虫網を構えた大人を見ると、とてもイヤな感じがします。


 そのほとんどは蝶の採集家です。
 この著者も、図鑑でカミキリはわからないと書いておられます。

 捕った虫を自分のコレクションにするのは、決して悪いことではないと思います。
 しかし虫がヤフーオークションに出品されている現実や、交換によって自分のコレクションにない虫を入手するために、目の前にいる希少な虫を何頭も採集する人がいる現実をどう見るか。
 著者はその点については語っておられません。

 生き物に対するあくなき関心と、昆虫売買という貧しい心とは別ものでしょう。
 生き物はモノではありません。

 カミキリムシはチョウやクワガタムシと比べればマイナーな虫ではないかと思います。
 カミキリ売買が終息に向かってほしいものです。

 ところでこの本ですが、カミキリムシについての学問的な蘊蓄を語ったものでなく、いかにしてカミキリムシと出会うかが書かれています。
 わたしはカミキリコレクターではありませんが、家の周囲でしばしば見かけるカミキリムシくらいは同定したいものだと思っていました。

 標本まで作ろうとは思っていませんが、日本に生息する1000種近くのカミキリムシのなかである程度ポピュラーなものくらいは採集(撮影)してみようかと思いました。

(ISBN4-88748-137-3 C0095 \1800E 2006,7 随想舎 2006,9,21 読了)