河野寿夫『山登りって何だろう』

 『回想の秩父多摩』の補遺的な本。

 主な内容は、南アルプスでのカモシカ登山の記録と群馬県の低山歩きの記録、そして山登りについての考察です。

 南アルプスカモシカ登山記については、特に感想なし。
 その登行意欲と体力に驚くばかりです。

 群馬県の低山は、わたし自身のフィールドと重なります。
 ほぼ土地勘のある山ばかりですし、桐生の根本山周辺などは、かなり通いつめた山域ですので、概念図を見ると、なるほどそういうルートがあったかと思わせられます。

 あまり多くを語っておられませんが、最近の中高年登山に対する著者の苦言は、的を射ています。

 偉そうに言うつもりはありませんが、山で出会う人々がどれだけ自立的に登っているのか、かなり疑わしい。
 近年の遭難報道を見ていると、(大)パーティでの道迷い、置き去り(?)、まだ遭難とはいえないのに救援を呼ぶなどというケースが少なくないように思います。

 自戒を込めて言うならば、山行きの体力・技術ともに平均以下よりさらに低下傾向の自分としては、計画づくりの段階でかなり慎重であるべきというのが結論です。

 これからの若い登山者にどういうことを教えるか、考えるヒントも得られました。

(ISBN4-89475-065-1 C0075 P1600E 2002,7 白山書房刊 2006,8,17読了)