小山昇平『毒きのこ・絶品きのこ狂騒記』

 若い友人から、紹介していただいた本です。
 わたしの住む町には、大きな書店がないので、ブックサービスに注文して、手に入れました。


 とてもおもしろかったので、一気に読んでしまいました。

 著者は、以前から利用している『日本の毒きのこ150種』(ほおずき書籍)の著者でもあります。
 きのこの食毒判定は、動物かなにかを使って、研究されているのかと思ったら、著者は、試食までして、調べておられるので、仰天してしまいました。
 わたしのようなシロウトには、とてもまねできる世界ではないなと、思いました。

 きのこ狩りを趣味とするものにとって、食毒について、疑わしきはクロ、というのが、基本でなければならないと、わたしは確信しています。
 食用きのこであっても、心の片隅に疑念があれば、おいしくありません。
 おいしくないものを食べても、意味がありません。
 劇性の中毒でなくても、毒成分が蓄積することによって、からだに何らかの悪影響が生じる懸念も、あります。

 注意すべきは、新しい毒きのこが、見つかっているという話です。
 ハイイロシメジ、ウスムラサキシメジなどの名前が、あがっています。
 ウスムラサキシメジは、わたしのホームページでいう、ウスバムラサキシメジではないかと思います。
 ハイイロシメジは、すでに食べてしまいましたが、著者がアドバイスされているように、ゆでこぼして料理したせいか、アタることなく、おいしくいただけました。

 この本には、名前を聞いたことのない毒きのこが、何種類も、あがっていました。
 それらの特徴など、もっとくわしく知りたいと思いました。

 「絶品きのこ」の項では、マツタケ・ホンシメジ・シモフリシメジなどについての、楽しいエピソードがのっていて、思わず、笑ってしまいました。
 最近、シモフリシメジについてよく知っている人と懇意になれたので、いつか、シモフリシメジの見つけ方を教えてもらおうと思いました。

 山の危険についても、書かれています。
 60歳を過ぎると、運動機能や記憶力が急激に低下する、と書いてありました。
 50歳以下で、きのこや山菜狩りでの遭難例は少ない、ともありました。
 とすると、50〜60歳は、きのこ狩り人生の曲がり角、といえるのでしょうか。

 わたしは、曲がり角には、まだしばらく、間があるようです。
 こころして、安全なきのこ人生を送りたいと、思いました。

 この本を紹介していただいたDくん、ありがとうございました。

(ISBN4-06-209840-7 C0095 \1500E 1999,8 講談社刊 2000,5,18 読了)