篠永哲・林晃史『虫の味』

 日本人の昆虫食についての本かと思いましたが、昆虫の味や料理法についての実験談です。

 わたしとしては、日本人がかつて、どのような虫を、どのような場面で食べてきたのかに、関心がありました。
 『こんなものを食べてきた』には、信州伊那地方で、カイコのさなぎがごくふつうに食べられていたことが、書いてあります。
 わたしの回りでも、クサギの虫はうまいとか、桐の虫はうまいとか、言っている人がいます。

 この本は、いろんな虫を食べてみた結果、味や体調がどうであったかを記しています。
 この本に出ている虫の中では、イナゴとかハチの子とかサワガニなどは、まあ、食べられそうですが、ゴキブリとかカマキリとか、青虫・ユスリカなどになると、ゲテモノのたぐいと言わざるを得ません。

 昔から食べられてきた伝統食としての昆虫食についても、若干はふれられていますが、そのあたりをもう少し知りたいという読後感を持ちました。

(ISBN4-89694-689-8 C0045 P1800E 1996,10 八坂書房刊 1999,12 読了)