石川信義『心病める人たち』  蜂矢英彦『心の病と社会復帰』

 必要があって、これらの本を読むまで、精神障害を持つことは、どうしようもなくたいへんなことなのだと思っていました。

 大熊一夫『ルポ・精神病棟』(朝日文庫)の印象が強すぎたのかもしれません。

 心の病が、難病ではあるが、決して不治の病でないこと。
 心を病む人々が、苦しみながらも、懸命に生きていること。
 心を病む人々が、何よりも、周囲の理解を必要としているということ。
 心を病む人々は、じつは健常者の心の鏡であり、彼らに向き合う健常者の心を、そのまま見せてくれるものだということ。

 現実は、たしかにきびしい。
 心を病むというだけで、危険人物のように見る人もいます。
 ひどい話です。

 この二冊は、心を病む人々に立ちはだかる、偏見の壁と制度の壁を打ち破っていこうという、勇気を与えてくれました。

(ISBN4-00-430122-X C0247 \650E 1990,5 岩波新書 1997,12,23読了)
(ISBN4-00-430276-5 C0236 \630E 1993,4 岩波新書 1998,1,18読了)